2005年10月27日、非公式のEU首脳会議がロンドン郊外で開催されたが、現在、EUが直面する問題(国際化への対応、EU次期(2007〜2013年)財政計画 の策定、社会モデル の見直し)について大きな成果は得られなかった。このことはメディアによって批判されているが(参照)、翌28日朝、欧州委員会の Verheugen 副委員長(産業政策等担当)(写真右)は、ドイツ・テレビ局のニュース番組(ZDF の Morgenmagazin)に出演し、不満を露わにした。副委員長は、今回の首脳会議は、重要案件に関するEUの取り組みの弱さを浮き彫りにしており、市民の信頼感を失っていると述べている。また、25ヶ国間に争いがある状態では、時代の国際化に対処しえないとし、EUが利害対立の舞台に成り下がることを警告している(参照)。
同じく28日、Verheugen 副委員長は、駐ドイツ欧州委員会代表部で、自らの著書 “Europa in der Krise"(危機的状況のヨーロッパ)を紹介しているが、EUが直面する危機 をテーマにした書籍の中では、国際化や市場開放の重要性、また、加盟国はEUに国内問題を転嫁してはならないことも触れられている(参照)。従来、ドイツ政府は、欧州委員会の提唱する サービス市場の開放 は、ソーシャル・ダンピングや国内失業率の増加につながるとして反対してるが(参照)、同国出身(かつ、同国政府より推されて欧州委員に就任した) Verheugen 氏は、このような懸念を否定している。また、EU経済を活性化し、企業の競争力を高めるには、国際化や市場開放が必要であるとしている。
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