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EUの「深刻な危機」
 

リストマーク フランスオランダ の国民投票で、欧州憲法条約 の批准が否決されたが、これはEU統合に関する様々な議論に火をつけることになった(参照)。批准反対理由は多数あると解されるが、現在の欧州統合のあり方や、今後の発展について、多くのEU市民が強い懸念を抱いている点を見過ごしてはならない。両国の国民投票後に実施されたアンケートでは、他の加盟国においても、EU支持率が低下していることが明らかにされている(参照 @AB)。これを受け、欧州委員会は、EU市民との対話を強化し、欧州統合を市民により身近な形で進めるためのプログラムを採択している(参照)。



2005年初夏の
国民投票


フランス
(5月29日)
矢印
オランダ
(6月1日)
矢印
ルクセンブルク
(7月10日)

また、加盟国首脳(欧州理事会)は、2005年6月16日、欧州憲法条約に関する国民の理解と支持を求めるための期間を導入することを決定している(参照)。

 他方、EUの次期財政計画について、加盟国首脳は翌17日の会議でも合意することができなかった。日付変わり、18日の深夜に行われたプレス・コンファレンスで、ルクセンブルクの Juncker 首相(当時のEU理事会議長)は、譲歩する姿勢をみせなかった一部の加盟国を強く批判すると共に、EUは単なる危機ではなく、深刻な危機にあると語った(参照)。後に、これは、経済同盟からの利益のみを求め、政治同盟への発展に必要な連帯性に欠けるイギリスに譲歩を求めるために行った発言であると述べている(参照)。

 フランスの国民投票の結果が判明した5月30日、欧州議会Josep Borrell Fontelles 議長EU理事会 議長国の Jean-Claude Juncker 首相、 また、欧州委員会Barroso 委員長 は共同で声明を発表し、これまでもEUは危機的状況に陥ってきたが、それを克服し、より大きく成長してきたため、現在の課題も乗り越えることができるとの確信を示している(参照)。そのためには、加盟国間の連帯性ないし妥協する姿勢を強化するだけではなく、EU統合をより市民に身近な形で進め、その信頼を回復する必要がある。この観点から、社会・文化的背景の異なる トルコのEU加盟 について、再検討を求める見解が有力に主張されるようになっている(参照)。


リストマーク 現在の危機に関する加盟国首脳の発言

 ・ 7ヶ国大統領の共同声明

 ・ ルクセンブルク首相

 ・ ハンガリー首相

 ・ オーストリア首相

 ・
デンマーク首相

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リストマーク 参照

  ・ 従来の危機 New



 ・ ルーマニア大統領、自国のEU加盟について語る

 ・ Verheugen 欧州委員、6月の欧州理事会について語る



 ・ 欧州憲法条約批准手続のゆくえ

 ・ 英国流「欧州統合懐疑論」の再燃か

 ・ 研究教育への投資鈍る



 ◎ 識者の見解

 ・ 憲法条約の最大の問題点と危機打開策

 ・ 憲法の受け入れには時間が必要


 ・ EU支持率低下の要因は、メディア報道 New

  ・ The Sound of Europe