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イギリス国旗 2005年下半期 EU理事会議長国

イギリス
EUの旗



EUの次期財政計画


 通常、EU加盟国首脳会議(欧州理事会)は、3ヶ月ごとに開催されるが、2005年下半期、理事会議長国を務めるイギリスは、10月の定例会議を見送り、代わりに、10月27・28日に非公式の会議を開催すると発表した。その主な議題は、社会モデルの見直し (経済発展と社会政策の調和)とされている(参照)。目下、EUは、欧州憲法条約の批准次期財政計画の策定 という重要課題を抱えているが(参照)、10月の臨時会議において、これらの問題は議論されない予定である。

     New 日程および議題の変更

 次期財政計画 について、加盟国首脳は、2005年6月の会議で審議したが、イギリスの抵抗によりまとまらなかった経緯がある(詳しくは こちら)。難局の打開には、イギリスの譲歩が不可欠であるが、それにやぶさかなイギリスは、自国の理事会議長国期間中に、再度協議することに消極的であると解される。

 しかし、このような態度に対し、他のEU加盟国や欧州委員会から批判が寄せられている。2005年9月22日、欧州委員会の Dalia Grybauskaite 委員(財政担当)は、EUの将来について考えるならば、財政計画に関する問題は避けて通れないとし、10月の非公式会議でも審議するよう求めている(参照)。また、9月24日付けの Die Presse 紙のインタビュー記事の中で、同委員は、次期財政計画の年度内成立の必要性を訴えている(参照)。







Grybauskaite 委員に対するインタビュー


 2005年9月24日付けの Die Presse 紙(オーストリア)には、欧州委員会の Dalia Grybauskaite 委員(財政担当〔写真右〕)のインタビュー記事が掲載されているが(参照)、その概要は以下の通りである。

Dalia Grybauskaite 委員

Grybauskaite 委員

リストマーク 次期財政計画に関する審議について

 次期財政計画については、10月のEU首脳会議で審議されなければならない。現在、理事会議長国を務めるイギリスは、この問題を優先的に扱っていないが、これが改められることを期待する。


リストマーク 次期財政計画がまとまらないことの影響について

 従来、EUは、7年間にわたる財政計画を採択しているが、議論が行き詰っている現在の状況を考慮し、1年間ごとの財政計画を導入する代替案も提唱されている。しかし、これでは、地域政策(結束基金)研究・開発政策 など、多年度にわたって予算を組む政策に悪い影響が生じる。具体的には、EU予算の約40%に影響がでることになり、EUは新たな危機に直面することになるであろう。


リストマーク 次期財政計画が採択されるためには?

 現在の財政制度の見直しが必要であろう。そうすれば、イギリスも譲歩するとみられる。

予算


写真提供:
Audiovisual Library European Commission







リストマーク

Die Presse v. 23. September 2005 ("Kommission steigert Druck auf London")

Die Presse v. 24. September 2005 ("Verspätete EU-Finanzeinigung wird teuer")


Vertretung der Europäischen Kommission in Deutschland, EU-NACHRICHTEN, 2005, Nr. 31, Seite 3 ("Reality Check")



イギリスの国旗  議長国の公式サイト



(2005年9月24日)