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リスボン条約
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アイルランド、2度目の国民投票を10月2日に実施


アイルランド国旗 2009年7月8日、アイルランドの Brian Cowen 首相は、リスボン条約批准の是非を問う国民投票を同年10月2日(金)に実施するとの予定を示した(参照)。

 2008年6月の国民投票では、46.6 対 53.4 で批准反対が決定されたが、それから1年が経過した2009年6月の調査によれば、賛成派(54%)が反対派(25%)を大きく引き離している。確かに、第1回目の投票時も、その約4ヶ月前は状況は同様で、賛成派が圧倒していたが、今回、賛成派の優位は覆されないと考えられる。その理由としては、まず、2008年秋以降の世界経済・金融危機の影響をアイルランドは他のEU加盟国よりもより強く受けており、「孤立化」は現在の経済状況をさらに悪化させかねないと国民が強く認識するようになったことが挙げられる。かねてより、アイルランドは欧州統合の恩恵を最も多く受けていることが指摘されているが、ヨーロッパの小国が国家破産の危機に直面する中で、1国でも破産させないとするEU加盟国の強い決断力・結束力は欧州統合の重要さを印象付けた。

 また、2008年6月、農民の大半は、自国政府、EU農業政策(特に、牛乳価格の暴落)やWTOのリベラル路線に抗議する形で、反対票を投じたとされるが、調査期間 Red C のアンケートによれば、今回、農民の80%は批准を支持している。その背景には、EU統合なしには自国の再生はないといった危機感がある(参照)。

 その他、第1回目の国民投票に際し、批准反対運動を精力的に展開した Libertas は(参照)、2009年6月5日の欧州議会選挙で議席を獲得できずに敗北したことを受け、キャンペーンを中止していることも(Ganley 党首は政界から退いている(参照))、批准可決に有利に作用している。また、同様に批准反対を表明していた Sinn Féin も議席を獲得できずに終わった。他方、Cowen 首相が率いる Fianna Fáil(共和党)は、野党 Fine Gael (統一アイルランド党)に次ぐ第2党の座に甘んじなければならなかったものの(得票率は、それぞれ、29.13%、24.08%(参照))、前年の国民投票時のような政権批判は影を潜めている。


 

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アイルランド国旗 アイルランドの国民投票

 ・ Ahern 首相、国民投票の実施日を発表

 ・ 批准反対派の台頭

 ・ 国民投票の結果

 ・ 批准否決の背景

 ・ Eurobarometer の調査結果

 ・ 今後の対応

 ・ EU・加盟国要人の発言

 ・ アイルランドのための特別保障を採択

New  第2回目の国民投票まで1ヶ月



EUの旗 他の加盟国によるリスボン条約の批准



リストマーク 欧州憲法条約




(2009年 7月 8日 記  9月 26日 更新)