2005年3月10日、EU加盟各国のEU大使はブリュッセルで会合を開き、クロアチアとの加盟交渉を、当初の予定通り、3月17日に開始させるかどうか協議したが、懐疑的な見解が多数を占めた。特に、イギリス、スウェーデン、デンマークとオランダが加盟交渉の開始に強く反対しているとされる。イタリアやフィンランドも、これに賛同する他(参照)、独仏両国も消極的であるとされるが、これは、国連の旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所への協力が不十分であるとみなされているためである(こちら を参照)。3月4日、同法廷の Del Ponte 主席検事 は、現在、EU理事会議長国を務めるルクセンブルクの Asselborn 外相に書簡を送り、クロアチアの非協力的な態度を改めて批判している。同検事によれば、Gotovina
容疑者は依然として、クロアチア当局の支配下にあるとされる(参照)。これに対し、クロアチアの Mesic 大統領や Sanader 首相は、国際刑事裁判所の要請に応じる用意はあるものの、容疑者の居場所が不明であるため(すでに出国しているとされる)、身柄を拘束し、引き渡すことができないとしている(参照)。もっとも、ドイツを含め、EU加盟国の情報機関はこれに反する情報を得ているとされ、加盟国政府を説得するに及んでいない(参照)。
他方、クロアチアの隣国であるオーストリア、ハンガリー、スロベニアやスロバキアは、加盟交渉の先送りに反対しており、加盟国外相が最終決断を下す3月16日まで、クロアチアの態度を見守るべきであると訴えている(参照)。
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2005年3月11日付けのオーストリアの日刊紙 Die Presse には、クロアチアの Kolinda Grabar-Kitarovic
外相に対するインタビュー記事が掲載された(参照)。その中で、同外相は、すでに、626人の容疑者の内、625人を旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所に引き渡しており、 Gotovina 容疑者は最後の一人であること、また、同容疑者と同じ地位にあった者も引き渡しており、法廷に非協力的であるとする批判は失当であるとしている。なお、
Gotovina 容疑者の身柄を拘束するため、クロアチアの警察は、2005年2月、2,225件の家宅捜索を行っただけではなく、64,845台の車と
2,923の船舶を調査し、また、23,000人に対し尋問を行なったとしている。
また、加盟交渉の開始時期を遅らせることは、クロアチア国民のEU懐疑論を高めるだけではなく、過激派を刺激しかねないと述べている。なお、Gotovina 容疑者の拘束に対する外圧は、EUに対する印象を悪化させており、EU加盟に対する国民の支持率は、1年半前の72%から、現在は30%にまで低下しているとされる。
Gotovina 容疑者、逮捕される
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