2006年12月11日、EU加盟国の外相はブリュッセルで会合(EU理事会)を開き、トルコとのEU加盟交渉を部分的に休止することを全会一致で決定した。これは、トルコが
アンカラ議定書 の履行を怠っていることを受けたもので、全35章からなる交渉の8つを開始してはならないとする 欧州委員会の提案 に従うものである。近時、トルコは譲歩案を示していたが(参照)、加盟国外相(EU理事会)の支持を得るには至らなかった。なお、ドイツの最有力紙 Frankfurter Allgemeine によると、加盟国間の見解の相違に基づき、審議は紛糾したとされる(参照)。会議前、ドイツの Steinmeier 外相は、合意の形成を疑問視する発言をしていたが(参照)、委員会案の緩和(加盟交渉を開始しない章を3つに限定)を訴えていたイギリスやスペインだけではなく、対策の強化を求めていたオランダやギリシャも最終的に妥協している(参照)。
今後は、8つの章の交渉開始時期が注目されるが、Frankfurter Allgemeine によると、この問題は、2007年から2009年にかけて、欧州委員会が毎年作成する報告書に基づき、加盟国首脳によって決定されるものとされる(参照)。これは、ドイツの Merkel 首相の提案 に基本的に合致している。
なお、議長国 フィンランド の Tuomioja 外相は、トルコが加盟要件を満たせば、EUの一員となりうることを否定するものではないと述べている(参照)。また、14・15日の加盟国首脳会議(欧州理事会)は「トルコ会議」にならないと述べていることから、今回の決定が見直されることはないと解される。同外相は、さらに、EU理事会は国連主導下でのキプロス和平交渉を支持すると共に、北キプロスの経済発展支援策について政治的合意がまとまったことを明らかにしている(参照)。
2008年4月、欧州委員会は、同年6月中に交渉を再開する計画を示した(詳しくは こちら)。
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