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EUの旗 キプロス問題の解決

フィンランドの外交交渉、実らず
トルコ国旗


 2005年7月、トルコは関税同盟の拡大に関する議定書(いわゆる、アンカラ議定書)に署名したが、キプロスからの船舶や航空機の乗り入れを認めておらず、同議定書を誠実に履行していないと批判されている。2006年12月末までに、トルコが国際法上の義務を遵守しないときは、EU加盟交渉の中断もありうると推測されるが(参照)、トルコは軟化せず、事態が緊迫している。

 2006年下半期は、特に、EU理事会議長国 フィンランド の主導下で交渉が進められてきたが、11月27日、同国の Erkki Tuomioja 外相は、新たな試みも失敗に終わったため、12月末までに キプロス問題 の解決で合意がまとまることはないであろうと述べた。また、特定はしなかったものの、トルコとの加盟交渉に何らかの影響を及ぼすであろうと語った(参照)。トルコのAbdullah Gül 外相とキプロスの Georgios Lillikas は、EU・地中海諸国会議(Euromed、11月27-28日)に出席するため、フィンランドのタンペレ(Tampere)を訪問している

 議長国の交渉が功を奏さなかったため、今度は欧州委員会の見解(提案)が待たれることになったが、その影響の大きさを考慮すると、決断は容易ではないと解される。なお、11月8日、委員会は議長国の外交交渉がまだ進行していることなどを考慮し、最終判断を示していない(参照)。委員会は12月6日に見解を表明する予定である(New 欧州委員会、加盟交渉の一部延期を提案)。また、これを受け、12月11日にはブリュッセルでEU加盟国外相会議(EU理事会)が開催され、同14-15日の加盟国首脳会議(欧州理事会)の準備にあたる予定である。フィンランドの  Tuomioja 外相は、トルコは11日までに態度を改めるべきであるとしているが、これがなされないとすれば、議事運営上、自らも窮地に追いやられることになる。同外相は、12月の欧州理事会が「トルコ会議」になることを牽制している(参照)。





(参照)   FAZ v. 27. November 2006 (Verhandlungen der EU mit Ankara über Zypern gescheitert)

Der Standard v. 27. November 2006 (Türkischer Außenminister begann Gespräche zu Zypern-Frage )
 

Die Presse v. 27. November 2006 (EU-Türkei: Keine Lösung im Zypern-Konflikt)

 

欧州委員会の報告書(2006年) 

トルコのEU加盟問題、ドイツの連立政権を二分 

欧州委員会、加盟交渉の一部延期を提案



トルコのEU加盟問題 



(2006年11月27日 記)