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トルコ国旗 トルコのEU加盟問題

バイエルン州の Stoiber 首相、加盟交渉の凍結を訴える

トルコのEU加盟問題、ドイツの大連立政権を二分
ドイツ国旗


 2006年11月8日、欧州委員会は、トルコのEU加盟に関する報告書を公表したが(詳しくは こちら)、その直前、ドイツ・バイエルン州の Stoiber 首相(与党CSUの党首)は、トルコとの加盟交渉を凍結すべきと発言し、波紋を広げている。11月7日付けのDie Welt 紙 によれば、Stoiber 氏は、トルコが アンカラ議定書 を誠実に履行しておらず、また、欧州委員会がネガティブな評価をしていることを考慮すると、加盟交渉の凍結はやむをえないとしている。また、ヨーロッパに属さないトルコはEUに加盟しえず、強力な近隣関係を構築すべきであると述べている(参照)。

 保守系政党である CDU(キリスト教民主同盟)と CSU(キリスト教社会同盟)は、かねてより、トルコのEU加盟に異議を述べており、この立場は今日でも変わっていない(詳しくは こちら)。Stoiber 首相は、保守色の強い南ドイツ・バイエルン州を活動拠点とする CSU の党首であるだけに、その発言は驚くに値しないが、両党と連立政権を組む SPD (ドイツ社会民主党)は、トルコのEU加盟は、トルコだけではなく、EUにとっても大きなプラスとなるとし、従来どおり、その加盟を支持している。また、加盟交渉は始まったばかりで、結論(トルコの加盟実現)がすでに決まっているわけではないとし、連立政党党首の発言に反発している(参照)。

 2005年秋に発足したドイツの大連立政権は、トルコのEU加盟問題だけではなく、国内問題でも足並みを乱しているが、前者に関し、Merkel 首相 は、CDU・CSU と SPD の調整役を担わされるようになっている。CDU の党首としては、従来どおり、トルコのEU加盟に反対しているが、ドイツ首相としては、トルコとの合意を守るべきであるとし(参照)、早急な判断を避け、トルコが自発的に アンカラ議定書 を批准・履行するのを見守っている。


 トルコとの加盟交渉について、EU加盟国政府は、12月中旬の欧州理事会で決定する予定であり、それまでに欧州委員会は提案を行うとされている(詳しくは こちら)。オーストリアの日刊紙 Die Presse は、12月6日に委員会の見解が示されると報じているが(参照)、これを受け加盟国外相会議(EU理事会)は12月11日に開催され、14・15日の欧州理事会に備えることになる。なお、フィンランドの Tuomioja 外相は、12月の欧州理事会が「トルコ会議」になることを牽制している(参照)。



(参照)  Die Welt v. 7. November 2006 (Stoiber: EU soll Verhandlungen über Beitritt einfrieren)

Die Presse v. 8. November 2006 (Türkei spaltet deutsche Koalition)

 

Merkel 首相、CDU党首としては、トルコのEU加盟に消極的




(2006年11月9日 記 11月15日 更新)


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