トルコとの加盟交渉開始の要件について
トルコがキプロスを独立国家として承認することは、加盟交渉開始の要件には当たらない(参照)。事前に定められた要件によれば、トルコは 関税同盟 の拡大に関する附属議定書に署名すればよいわけであるから、加盟交渉は予定通り開始することができよう。
トルコによるキプロスの承認拒否について
欧州委員会の法律顧問は、EU加盟25ヶ国と加盟交渉を行うことは、事実上、キプロスを承認することを意味すると捉えている。現在、作成中の宣言(トルコに対するEU側の声明)の中ではこの点や、関税同盟の拡大の意義が強調されることになろう。
EU市民の多くはトルコのEU加盟に反対していることについて
欧州委員会はEU市民の見解を無視しているわけではない。市民の声を聞くため、私はドイツとフランスで休暇を過ごしており、トルコのEU加盟に懐疑的な意見があることを十分承知している(参照)。しかし、加盟交渉を開始すべきかという問題と、トルコの加盟を直ちに認めるべきかという問題を混同してはならない。トルコが加盟要件を全て満たした場合には、加盟を認めるべきかとの質問に対しては、否定的な答えは多くないであろう。加盟が実現するのは10〜15年後と想定されており、EU加盟への道のりは、長く、険しいものとなろう(参照)。
代替案が盛り込まれなかったことについて
2005年9月のEU加盟国外相会議で、オーストリアが要求していた代替案( 特権的パートナーシップ)は採択されなかったが(参照)、トルコの制度改革を奨励するためには、魅力のある目標を明確に定める必要がある。
トルコが加盟要件を全て充足することができなかったときは、代替案について検討されなければならない。特権的パートナーシップ は今後も議論の対象になるであろうが、トルコに加盟要件の充足を促す補足的な方法になろう。
今後のEU拡大について
EUがどこまで拡大しうるかは、その受容能力にかかっている。そのため、第3国と新たに協議する前に、我々は第3国を受け入れることができるかどうかについて検討しなければならない。
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