加盟交渉の開始に関する判断について
2005年9月1・2日、EU加盟国の外相は、トルコとの加盟交渉を
当初の予定通り、10月3日に開始するかどうか決定することになっているが、現在、EU理事会の議長国を務めるイギリス(参照)は、事前に特別会議を開催すべきであった。加盟交渉の枠組みについて、これまで実質的な検討がなされていないのは受け入れがたい。
前回の外相会議(EU理事会)において、イギリスの Straw 外相は、トルコとの加盟交渉が議題に上がるのを阻止しており、(トルコのEU加盟に慎重な)オーストリア外相の発言を拒んでいる。9月の会議ではしっかり協議しなければならない(参照)。
トルコ政府の承認拒否宣言について
関税同盟の拡大はキプロスを独立国家として承認するものではないとするトルコ政府の宣言(詳しくは こちら)は、キプロスだけではなく、その他のEU加盟国を挑発するものである。この政治的な宣言にトルコは、独自の解釈を与えることができるが、この宣言のために、加盟交渉の枠組みが修正される可能性があることも考慮すべきである。EU加盟25ヶ国は新たな加盟条件について協議し、政治的声明を採択することもできるであろう。トルコがこれを受け入れ、挑発ないし脅しを繰り返さないことを望む。
キプロス政府や少なくとも5つの加盟国は、トルコの一方的宣言によって関税同盟の拡大は無効になったと捉えている(つまり、関税同盟の拡大に関する議定書への調印は法的に無効であり、交渉開始要件は、まだ完全には満たされていない)。そのため、我々の見解によれば、加盟交渉は開始しえない。
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なお、別の場で、Iacovou 外相は、外交関係の改善を優先させるため、キプロス政府は最初から拒否権を行使するものではないと述べている(参照)。また、このインタビューの中でも、(自国が承認されなくとも、関税同盟の拡大に関する議定書が誠実に履行される限り)キプロスは加盟交渉の開始を阻止するものではないとする立場が読み取れる。 |
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トルコの宣言の法的効力については、EC裁判所が判断すべきであるが、幾つかの加盟国はこれに反対している。なぜなら、同裁判所は判断に3〜4ヶ月を要するため、政治的判断の遅延をもたらすためである。
従来、キプロスは、厳格な承認をトルコに要求しているわけではない。関税同盟の拡大に関する議定書が制定されたことのみでも、十分に満足しえたであろうが、トルコの近時の発言は、我々の不信感をあおっている。キプロス政府は、トルコが議定書を誠実に履行するかどうか、半年ごとに調査し、否定的な結果が得られた場合には、加盟交渉の中断を要請する。
拒否権の行使について
第3国のEU加盟は、加盟国の全会一致に基づき決定されるが、キプロスは、トルコの加盟に反対票を投じるものではない(参照)。しかし、この決定は最終的なものではなく、状況に応じて変更されうる。
フランスが拒否権を行使するよう働きかけたという説は誤りである。しかし、同国がキプロス問題を指摘したことには感謝している。
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