組織的人権侵害
かねてからトルコは西欧の人権保護水準に達していないと批判され、EU加盟の障害となってきたが
(参照)、2002年にErdogan 政権が誕生して以来、事態は大幅に改善されている。Verheugen
欧州委員(EU拡大担当)も、2004年9月中旬、現地調査を行った後、トルコは EU加盟要件をすべて満たすに至ったと発言している。
他方、国内外の人権保護団体からの批判は依然として止まない(参照)。実際に、オーストリアは、2004年は8月までに、62人のトルコ人の亡命を認めている。その75%はクルド人で、人種や政治的理由により、トルコ政府より迫害されているとされる。なお、申請者の数は729人であるが、前年の同期間中の2228人と比べると、大幅に減少している(参照)。
2004年10月22日付けの Die Presse 紙 は、トルコ首相の人権諮問委員会の調査によれば、今年は上半期だけでも692人に対して拷問が行われたと報じた。
(参照) |
Die Presse v. 22. Oktober 2004 (Türkei: 692 Folterfälle in sechs Monaten) |
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(2004年10月22日 記) |
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2004年秋の刑事法改正では、一時、離婚に対する刑罰の再導入が検討され、EUの批判を浴びることになったが(参照)、他方、公務員(司法当局職員や警察間)による拷問の取り締まりも強化され、刑期は3年から15年に引き上げられた。もっとも、裁判所は、この刑の執行に消極的であり、刑事裁判手続の遅延も珍しくないとされる。また、拷問を行った者であれ、昇進が認められる他、罷免されることはないとされる(参照)。
信仰の自由
現在、トルコではイスラム教の影響が薄れており、政教の分離も実現しているとされるが、キリスト教の信仰の自由は完全に保障されていない。また、教会には私有財産が保障されておらず、宣教師の活動・滞在も制限されている。
◎ 参照
慣習的な女性蔑視
一般義務教育制度が存するにもかかわらず、女性の約20%は文盲とされる。また、16歳未満で結婚する女性も依然として多く、花嫁の両親は、配偶者側に金銭(約5000ユーロ)の支払いを要求する慣習も残っているとされる。これは国家による人権侵害にあたらないが、状況を改善するため、政府は、女子を学校に通わせるためのキャンペーンを実施している(参照)。
同性間の婚姻
同性愛者の差別を禁止したり、同性間の婚姻を法的に容認するEU加盟国も増えているが、トルコでは、同性愛者の権利はまだ保障されていない(参照)。なお、EC条約第13条は、性的指向に基づく差別を撲滅するため、EU理事会は対策を講じることができると定めている(参照)。
表現の自由
この問題については こちら
(参照) |
Die Presse v. 9. Oktober 2004 (Menschenrechete: Türkei noch nicht sicher)
Die Welt v. 9. September 2004 (Foltervorwürfe
überschatten Verheugens Türkei-Besuch) |
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