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EU加盟後のポーランド 支持率高まる

 東西冷戦終結後、ポーランドは、自由と豊かさを標榜に、ヨーロッパへの復帰を志した。2003年6月に実施された国民投票では、77%以上の国民がEU加盟を支持している(参照 @A。しかし、その後は、EU加盟のマイナス面(物価の上昇、税の引き上げ、失業率の増加など〔参照 @A)や、欧州憲法条約をめぐる議論が過熱し参照、EUへの信頼感は低下した。CBOSが2004年秋に発表した調査結果によると、EU加盟を個人的に評価しているポーランド国民は24%に過ぎない。他方、評価しないとする国民は、31%に上る。また、ポーランドよりも、他国がEU加盟の恩恵を多く受けていると捉える国民は43%に達している。このような評価の背景には、物価の上昇と税の引き上げがあるものと考えられる参照

 もっとも、EU加盟の負の効果は、当初の予想より、小規模に抑えられているため、総合的にみると、欧州統合への支持率は、2003年6月の水準にまで回復しているとされる。とりわけ、EU加盟に懐疑的であった農家は、EUからの補助金だけではなく、農産物価格の上昇と輸出ブームの恩恵にあずかり、状況が変化しているとされる。例えば、牛肉とてんさいの価格は2倍に上昇した。また、他の加盟国への農産物の輸出は、42%の伸びを示している。その他の産業分野でも輸出は拡大しており(例えば、自動車産業は、前年より倍増している)、全体では、2004年9月の時点で、前年比 32%の高水準にある参照


 2005年は、前年に続き、5%強の経済成長が見込まれれるが、労働市場への効果は小さいと見られている。ポーランドの失業率(約19%、若年層では40%)は、EU平均の約2倍の高水準にある。そのため、イギリスやアイルランドに移住した若者も少ないない。なお、東方拡大後、両国は、新規加盟国に労働市場を開放しているが、ポーランドの隣国であるドイツやオーストリアは、労働者の移住を制限している参照



(参照) Die Welt v. 6. Januar 2005 ("Der Vertrauen der Polen in die EU wächst")

高い経済成長率と失業率

東方拡大より1年、中東欧諸国の現状


(2005年1月8日 記)


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