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2005年6月の欧州理事会

欧 州 憲 法 条 約 の 批 准 手 続 は 一 時 休 止
〜 加盟国は国民の声に耳を傾けるべき 〜


EUの旗  2005年6月16日夜、欧州理事会 がブリュッセルで始まった。初日の16日は、欧州憲法条約の批准 について話し合われたが、23時過ぎより開かれたプレス・コンファレンスで、EU理事会の Juncker 議長(ルクセンブルク首相) は、批准手続は続行すべきという点で全加盟国の見解は一致したと述べた。また、より優れた憲法条約や代替案(Plan B)などありえないことを強調した。ただし、フランスオランダ の国民投票の結果を考慮し、「検討、説明、議論の期間」(une période de réflexion, d’explication et de débat/a period for reflection, clarification and discussion )を設けることになったと述べた(いわゆる Plan D の採択)。つまり、加盟国は国民の声に耳を傾けるべきであり、国民との対話や議論に、より長い時間を必要とする加盟国には時間を与え、批准を急がせてはならないとされている。この決定は、これから国民投票の実施を予定している加盟国 を考慮したものと解されるが、国民との対話や議論に時間が必要な場合は、国民投票の延期も可能であるとされている。なお、Juncker 議長は、国内議会の判断に委ねる加盟国は、手続を中断することなく、従来の予定通り、審議してよいと述べている。国民投票や国会審議の時期は、加盟国によって決定される(New 7ヶ国、批准手続を延期)。

 フランスオランダ の国民投票で憲法条約の批准が否決されたことや、新たに検討期間が設けられるため、2006年11月1日の発効という当初の目標(参照)は達成しえなくなったが、欧州理事会は、同年中旬(オーストリアの議長国期間)に改めて協議することになっている。なお、Chirac 大統領は、臨時首脳会議を開催を呼びかけている(参照)。

 Juncker 議長によれば、憲法条約の批准に関する審議は長時間継続したとされるが、23時過ぎより開かれたプレス・コンファレンスは、マイクが正しく機能せず、居合わせたジャーナリストの笑い声の中で開始された。17日は、EU財政計画 について審議されることになっているが、加盟国の見解が激しく対立しているため、記者会見が同様に和やかな雰囲気の下で行われるかどうかは定かではない(New 次期財政計画まとまらず)。



リストマーク

Juncker 議長の声明 (欧州理事会議長国の公式サイト)

Declaration by the heads of State or Government of the Member States of the European Union on the ratification of the treaty establishing a Constitution for Europe - European Council, 16 and 17 June 2005
(欧州理事会議長国の公式サイト)

欧州理事会の最終決議
(ドイツ語)(EUの公式サイト)


Plan D

Verheugen 欧州委員の見解

2005年6月16・17日の欧州理事会
(欧州理事会議長国の公式サイト)

欧州憲法条約

欧州憲法条約批准危機


リストマーク 次期財政計画 まとまらず



(2005年6月16日  6月17日 更新)