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欧州憲法



オランダ国民投票、憲法条約の批准に
「レッドカード」

オランダ国旗 2005年6月1日、欧州憲法条約批准の是非を問う国民投票が、フランスに次いで、オランダでも実施された。速報によると、反対票は約62%に達し、フランス(約55%)よりも明確に、批准反対の態度が示された。これに対し、賛成票は38%に過ぎなかった(フランスでは約45%)。投票率は63.9%であり、2004年6月の 欧州議会選挙 の投票率を上回った。



 2005年6月に発表された Eurobarometer のレポート(参照)によると、国民投票の結果は以下の通りである。


   批准反対 61.6%
   批准賛成 38.4%
   投票率   62.8%




 フランスとは異なり、オランダでは国民投票の結果に法的拘束力はないが、投票終了後(6月1日夜)、Balkenende 首相は、国民の明確な意思表示を尊重することを明らかにしている。また、EUはこの結果を重く受け止める必要があり、今月中旬の 欧州理事会 で、他の加盟国首脳と協議するとしている。Balkenende 首相は、特に、自国のEU財政負担の大きさを指摘しているが(参照)、欧州統合を支援する国の方針は変わらないとしている。また、自国内の国民投票の結果にかかわらず、憲法条約の批准手続は進められるべきであるとし、各国は自らの立場を示すべきであると述べている(参照)。

   Balkenende 首相のコメント


Balkenende首相

Balkenende 首相

写真提供:
Audiovisual Library European Commission

 Balkenende 首相が属するキリスト教民主同盟 (CDA) も、投票率が30%を超え、反対票が60%を超えるならば、本来は拘束力のない投票結果を受け入れることをすでに明らかにしている。また、最大野党の労働党も、同様の見解を取っているので(参照)、6月1日の投票結果に従い、オランダは憲法条約の批准を見送るものと解される。なお、先にフランスが批准を否決しているため、オランダ政府の精神的負担は緩和されよう。

 約200年ぶり実施されたオランダの国民投票(参照)は、3日前に実施されたフランス国民投票の影響を指摘する声もあるが、事前に実施されたアンケートでは、オランダ国民の方が、より懐疑的な態度を見せていた(参照)。なお、フランスとは異なり、オランダでは、政権の再編成はないと見られている。

 


リストマーク

オランダの国民投票こちら も参照)

オランダ国民が憲法条約に反対する理由



フランス国民投票、批准を否決

フランスにおける批准見送り危機

欧州憲法条約の批准



(参照)

FAZ v. 1. Juni 2005 ("Niederlande: Hochrechnung: 62 Prozent lehnnen EU-Verfassung ab")

Tagesschau v. 2. Juni 2005 ("Referendum in den Niederlanden: Überwältigende Mehrheit gegen EU-Verfassung")




(2005年6月2日 記)