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 欧 州 議 会 設 立 5 0 周 年


 設立当初、三つの欧州共同体 は、「集会」(後に、「欧州議会」と改名、詳しくは こちら)や裁判所を始めとする独自の機関を設けていたが、後に、それらを統合する試みがなされる。その先陣を切り、三共同体の「集会」(欧州議会)が1958年に統合されたが(参照)、新しい「集会」は、同年3月19日にストラスブールで最初の会合を開いている(初代集会長は Robert Schuman)。その設立50周年を記念し、2008年3月12日、ストラスブールで記念式典が開かれた。

欧州議会設立50周年のロゴ

The 50th anniversary logo

© European Parliament 2008


 半世紀にわたる欧州議会の歴史は、EU・ECの民主化を物語っている。加盟国間の国際組織として設立され、加盟国によって統制されるEU・ECは、発展するにつれ、民主化の要請が強まっているが、@ 欧州議会はその民主的基盤が強化されるだけではなく( ⇒ 当初は加盟国より議員が派遣されていたが、1979年より、市民によって直接選出されている。詳しくは こちら)、A 権限が強化されている(詳しくは こちら)。現在、批准作業が行われている リスボン条約 も、議会の民主的統制権限 や 立法権限を強化し、原則的に、法令はEU理事会と共同で制定されるようになる(農業政策 の分野においても、議会は共同立法者となる)。もっとも、租税分野など、加盟国の国益に密接に関わる分野では、従来通り、議会の権限は非常に弱い(参照)。

 1979年以降は、全加盟国で欧州議会選挙が実施され、議員は、EU市民によって直接、選出されているが、2007年秋、全ての加盟国で実施された Eurobarometer の調査によれば次期選挙の実施年を知っているEU市民は10%に過ぎず、実施月まで正確に認識している者はわずか2%である。また、近時、欧州議会について読んだり、聞いたことがあるとするEU市民は
過半数に達しない(42%)。これは欧州統合そのものに対する関心の薄さを表していると解されるが、欧州議会制の独自性(国内政治との分離)が弱いことも影響している(参照)。本来、市民に身近であるべきはずの議会が遠く離れた都市(ストラスブール、ブリュッセル、ルクセンブルク)に設置され、欧州官僚主義の偏見を払拭しえないという問題もある。なお、加盟国の利益を考慮し定められた議員定数や民意を必ずしも反映しているとはいえない政党政治が、EUの民主化にどの程度、貢献しうるか(前掲のアンケートによれば、EU市民の55%は、議会が市民の声を十分に聞いていないとする)、また、加盟国主導の「上からの欧州統合」の実益について検証する必要があろう。



欧州議会 3月12日の式典の様子

© European Parliament 2008




(参照) 欧州議会の公式サイト(European Parliament at 50 - images from half a century; 50th anniversary of the European Parliament celebrated in Strasbourg

Die Vertretung der Europäischen Kommission in Deutschland, EU-Nachrichten 2008, Nr. 10, S. 1 (Europa wagt mehr Demokratie) und S. 6-7 (Maßgebliche rolle im Entscheidungsprozess)

ZDF heute (欧州州議会設立50周年記念クイズ(ドイツ語)


欧州議会(EU法講義ノート)

50 years since 1957



(2008年3月19日 記)