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新 欧 州 委 員 会 の 発 足


リストマーク 約20日遅れの委員会発足


 2004年11月18日(木)、欧州議会は、全議員の約3分の2の賛成によって、新欧州委員候補を承認した。支持票を投じた議員は449人、反対した議員は149人、また、棄権した議員は82人であった参照。大多数の会派が新しい人選を支持する一方で参照、環境保護政党会派と左派連合会派は、Berlusconi イタリア首相の現役閣僚である Frattinis が司法・内務問題担当委員に指名されていることに異議を唱えた。


 議会の承認を受け、翌19日(金)、新欧州委員会はEU理事会によって任命され、週明けの22日(月)より、任務を開始する予定である。
また、公式の初会合と会見は24日(水)に計画されている。


参照 欧州委員会の任命手続
 新欧州委員会におけるフランス語の地位の低下




リストマーク 新たな問題

 11月18日、新人事で信任投票に臨んだ Barroso 委員会は、欧州議員の圧倒的な支持を得ることができたが、その翌日には、その信任を揺るがす 事態が生じた。これは、フランス出身の Barrot 委員(運輸政策担当、副委員長を兼任)が2000年2月、政党献金罪で執行猶予刑を言い渡されていたことが、事前に明らかにされていなかったことに基づいている。社会党系会派長の Schluz 議員や、自由党系会派長の Watoson 議員は、Barroso 委員長と Barrot 委員に釈明を求めている。なお、Barrot 氏は、判決が下された直後に恩赦を受け、刑が消滅しており、フランス法上は無罪として扱われている。確かに、議会は国内法に干渉しえないが、一連の経過は、議会の審問を受ける前に、明らかにされるべきであったと Schulz 議員は主張している。また、Watoson 議員は、フランス法上は罪を問われないとしても、多くの加盟国では公職への就任が禁止されるとし、早急に基準を共通化する必要性があると述べている。これに対し、Barrot 委員は、判決の言い渡しについて、欧州議会はすでに認識していたと述べている参照



欧州議会の法務担当者  
Barrot 委員に対する批判は失当


 2004年11月24日、欧州議会の法務担当者は、Barrot 氏は恩赦を受けていたことについて自ら明らかにする義務はな かったとし、同委員に対する批判を中止するよう求めた。この判断を受け、欧州議会の Borrell Fontelles 議長 も Barrot 委員は法的に非難されるべきではないと述べている。

 自由党系会派と社会党系会派は、Barrot 氏に退陣を求めていたが、社会党系会派は、法務担当者の見解に従うとしていた。そのため、事態は急速に収拾されるものと解されている。


(参照)

Der Standard v. 24. November 2004 (Juristen des EU-Parlaments haben keine Einwande gegen Barrot)

(2004年11月25日 記)





(参照)

FAZ v. 18. November 2004 (EU-Parlament segnet Barrosos Kommission ab)
 

Der Standard v. 19. November 2004 (Parlamentskritik an neuem EU-Kommissar Barrot)


(2004年11月20日 記)