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ドイツ国内3政党による批判と Barroso新欧州委員会の退陣


 Barroso 新欧州委員会の退陣について、ドイツのニュース雑誌 Focus は、国内の3政党が原動力になったと分析している。


リストマーク 社民党と緑の党  

 保守的な発言のために批判の矢に立たされていた Rocco Buttiglione 氏に同じく参照、José Manuel Durão Barroso 新欧州委員長(内定)も、保守系の政治家であるが、欧州議会内の社会党系会派は早くから不支持を表明していた。また、反対勢力の形成を組織したとされる Martin Schulz 氏(ドイツ社民党、欧州議会社会党系議員団の会長)にとっては、政敵であるSilvio Berlusconi 伊首相に対する批判という意味合いも込められていた。2003年夏、イタリア首相は、Schulz 氏をナチス・ドイツ時代の軍人にたとえ、両者間に対立が生じた。

 他方、欧州議会で、環境保護政党の議員団長を務める Daniel Cohn-Bendit 氏は、少数派(同性愛者)の弁護人を買って出て、Barroso 欧州委員会の発足に反対網を形成したとされる。

 現在、ドイツ社民党(SPD)と緑の党(Grüneは連立政権を組んでおり、自らの陣営より、Günter Verheugen 氏(ドイツ社民党)を欧州委員に指名しているが、Barroso 新委員会の承認に関しては、指示を発しなかったとされる。結果として、Verheugen 氏の就任も見送られることになったが、もっとも、同氏はこれまでも欧州委員として活動しており参照、新委員会の退陣の影響を強く受けていない。



リストマーク 自由民主党

 ドイツ自由民主党(FDP)も、同性愛は「罪」であるとする Buttiglione 委員候補(司法・内務問題担当)の発言を厳しく非難し、その管轄分野の変更を要求する方針をとった。なお、最近になって、Guido Westerwelle 党首は自らが同性愛者であることを公にしているが、Silvana Koch-Mehrin 欧州議員(自由党系会派の副代表)によれば、党首からの指示はなかったとされる。


 ドイツ自由民主党
(FDP)は、保守系のキリスト教民主同盟(CDU)やキリスト教社会同盟(CSU)と連立して国政を運営したことがある。また、現在も、両政党と協力して政権奪回を目指しているが、その説得にもかかわらず、Barroso 欧州委員会の承認反対派に回ったことは、同盟関係のあり方に波紋を投じている。

  

自由党系会派の立場


 同じく Focus 誌のインタビューにおいて、自由党会派の副代表を務める Silvana Koch-Mehrin 欧州議員は、同会派は、 Buttiglione 氏の管轄分野の変更を要求しているだけであり(Buttiglione 氏も含め、委員候補の交替を要求しているわけではない)、 そのために所属議員の3分2以上は、新欧州委員会の承認に反対していたことを明らかにした。また、退陣を表明した Barroso 委員長
(内定)については、議会と協力することの重要性を認識しているため、支持基盤は、むしろ強まったとしている。


(参照)

Focus, Nr. 45, 2004, Seite 199 (Mehr als zwei Drittel waren dagegen)

(2004年11月3日 記)





(参照) Focus, Nr. 45, 2004, Seite 196-199 (Kommissare verzweifelt gesucht)


(2004年11月3日 記)