東西冷戦の終結から15年、
多くの東欧諸国はEU加盟という目標を実現したが(EUの東方拡大)、 それをまだ成し遂げていない国も少なくない。東方拡大が「ヨーロッパ半島の新たな分断」になることを避けるため、EUは、2004年に欧州近隣政策をスタートさせ、①近隣諸国との対話や政策協力の促進、また、②近隣諸国の制度改革を支援し、EUと近隣諸国の(経済)発展と安定化の実現に乗り出した。同政策では、行政・経済改革、人権保護、貿易と関税、安全保障、環境保護、教育・研究、健康保護、エネルギー政策、移民政策など、多くの案件が扱われている。2007~2013年の予算として、EUは120億ユーロを計上している。
欧州近隣政策に参加しているのは、EU加盟はさることながら、加盟交渉の予定すら立っていない国々(地域)であるが、政策の一環として、EUは、EUに加盟する上でも不可欠な諸制度の改革を支援している。
例えば、司法機関の独立性を含めた統治機構改革、民主主義制度の確立(国内選挙の監視・実施支援)、汚職撲滅対策、市場の自由化などが挙げられる。
2008年5月現在のパートナー国は以下の16ヶ国(ないし地域)であるが、ロシアは含まれていない。同国は戦略的パートナーシップとして位置づけられ、特別なパートナーシップ関係の構築が検討されている(参照)。また、トルコも含まれていないが、同国はEU加盟候補国であり、加盟交渉がすでに開始されているためである(参照)。同様に加盟交渉が行われているクロアチア、また、加盟交渉はまだ開始されていないものの、安定化・連合協定が締結済み、ないし、早期締結が見込まれている、その他の旧ユーゴスラビア諸国も含まれていない(参照)。
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