各政党の立場
1.ÖVP (オーストリア国民党)
Schüssel
首相が党首を務める ÖVP (オーストリア国民党)は、トルコのEU加盟に、どちらかといえば懐疑的であるが、首相は、欧州委員会の報告書が公表されるまで、判断を控えるとの立場をとっている。また、結論が下されるまでには、まだまだ議論が必要であるとしている。
参照:@、A
最近の動向
代替案の必要性
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Schüssel
首相
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2. FPÖ(オーストリア自由党)
ハイダー氏が元党首を務めた極右政党 FPÖ (オーストリア自由党)は、
トルコのEU加盟に反対の立場を早くから表明しており、2004年6月の欧州議会でも、これを訴えた。
現在、FPÖ は、ÖVP と連立政権を組んでいるが、2004年12月のEU理事会において、トルコとの加盟交渉開始を支持しないよう、Schüssel 首相に要請している。オーストリア憲法第23e条第2項によれば、連邦政府の代表は、EUの議事決定につき、連邦評議会(Nationalrat)の見解に拘束されると定める。そのため、連邦評議会がトルコとのEU加盟交渉の開始を却下している場合には、オーストリアは、加盟交渉の開始を支持してはならないことになる。なお、トルコのEU加盟そのものではなく、加盟交渉の開始を決定するに際しても、政府代表は、連邦評議会の見解に拘束されるかどうかについては争いがある(参照)。
また、Schüssel 首相がトルコのEU加盟を支持するならば、政権から離脱するとし、首相の動きをけん制している(参照@ A)。
さらに、仮に、Schüssel 首相が、加盟交渉の開始を支持したとしても、国会での批准手続の際に、反対票を投じ、トルコのEU加盟を阻止するとしている(参照)。
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オーストリアの国会は、連邦評議会(Nationalrat)と、連邦参議院(Bundesrat)からなるが、前者の議員は国民が直接選出するのに対し(オーストリア憲法第26条第1項)、後者は、各州の代表で構成される(第34条第1項)。
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3. SPÖ (オーストリア社会党)
オーストリア社会党も、トルコのEU加盟に消極的であり、現在の連合関係を発展させるべきとしている。
4. Grüne (緑の党)
ÖVP同様、態度を保留していたが、2004年9月25日、執行部は、トルコとの加盟交渉支持を賛成多数で決定した。その理由として、@古くから、トルコは大陸間の架け橋の役目を果たしており、また、ヨーロッパへの帰属性を否定しえないこと、A加盟交渉の開始は、トルコの制度改革を後押ししうること、また、B他の南東ヨーロッパ諸国にもよい刺激となることを挙げている。もっとも、EU加盟まで直ちに支持するわけではないとし、交渉の成り行きに慎重である(参照)。
トルコのEU加盟問題に対するオーストリアの政党の見解
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ÖVP |
FPÖ |
SPÖ |
緑の党 |
加盟交渉の開始 |
賛成 |
反対 |
反対 |
賛成 |
ただし、交渉の結果は特定せず |
トルコは政治的な加盟要件を満たしていないため、交渉の開始に反対 |
加盟を目標に交渉を開始すべき |
加盟 |
未決定 |
反 対 |
反対 |
賛成 |
(参照) Der Standard
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連邦大統領の立場
Heinz Fischer 連邦大統領は、「賢明な判断」を期待するとし、自らの態度は明確にしていない。もっとも、トルコを単純に拒絶してはならない一方で、問題を軽視してもならないとし、トルコのEU加盟は早急に実現しえないことも指摘している。
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2004年10月、Fischer 大統領は、Die Prese 紙のインタビューにおいて、バタンと大きな音を立てて扉を閉めるのは誤りで、トルコとのEU加盟交渉を開始すべきたと述べた。もっとも、加盟交渉の開始は、直ちに加盟を意味するわけではなく、交渉の結果は定かではないとしている。この点について、大統領は、特に、トルコのEU加盟に伴う経済的負担や、2004年5月の
東方拡大 もまだ完全に「消化」されているわけではない点を指摘している(参照)。 |
こちらも 参照
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