かつては、ユーロの導入は実現しえないとする経済学者(ノーベル賞受賞者を含む)もいたが、今日、ユーロはしっかりと定着し、なおかつ、強い力を持っている。これは、安定・成長協定の賜物である。また、同協定がなければ、単一通貨は誕生しえなかった。そのため、3%の財政赤字枠の撤廃という要求には応じられない。
安定・成長協定は実効性を失っているとする見解も主張されているが、これを維持するため、欧州委員会はEC裁判所に提訴している。裁判所は、委員会と加盟国は歩み寄らなければならないとする懸命な判決を下しているが(参照)、これを受け、委員会は、現実に即したシステムの構築に努めている。我々は、加盟国が義務を忠実に履行し、単一通貨を安定させる「文化」を形成しなければならない。
安定・成長協定の見直し
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