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Barroso 委員長、欧州統合一般について語る


 Der Spiegel 誌(2005年5号119~121頁)のインタビューで、Barroso 欧州委員会委員長 は、今日の欧州統合について以下のように語っている。


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現在のEUの最大の課題について


 環境保護、文化奨励、研究開発、安全保障も確かに重要であるが、EU全域にわたり共通している最重要課題は、経済成長と雇用の創出である。主要な貿易パートナーに比べ、我々は競争力の面で劣っているが、それを強化し、雇用の創出につなげる必要がある。

   リストマーク リスボン戦略



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安定・成長協定の見直しについて


 かつては、ユーロの導入は実現しえないとする経済学者(ノーベル賞受賞者を含む)もいたが、今日、ユーロはしっかりと定着し、なおかつ、強い力を持っている。これは、安定・成長協定の賜物である。また、同協定がなければ、単一通貨は誕生しえなかった。そのため、3%の財政赤字枠の撤廃という要求には応じられない。

 安定・成長協定は実効性を失っているとする見解も主張されているが、これを維持するため、欧州委員会はEC裁判所に提訴している。裁判所は、委員会と加盟国は歩み寄らなければならないとする懸命な判決を下しているが(参照)、これを受け、委員会は、現実に即したシステムの構築に努めている。我々は、加盟国が義務を忠実に履行し、単一通貨を安定させる「文化」を形成しなければならない。


   リストマーク 安定・成長協定の見直し



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欧州委員会の役割について


 欧州委員会は、一種の政府であるとする見解には賛同しない。委員会の役割は、加盟国に対し優位に立つことではなく、加盟国(EUの立法機関であるEU理事会)と共に行動することにある。

 すべての加盟国は、委員会の強いリーダーシップを望んでいるが、委員会の提案が加盟国の利益に反するような場合は、逆の立場になる。それゆえに委員会の独立性は重要であり、それが委員会は強さとなっている。


    リストマーク サービス市場の自由化



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ポルトガル首相として、イラク戦争に賛成したことについて


 母国の議会において、私は戦争に反対であることを少なくとも5回は説明してきた。しかし、我々のパートーナーとフセイン政権との間に争いが生じるならば、私は、政治的に米国を支持する用意があった。なお、フランスの Chirac 大統領とは、全ての点で見解が一致しているわけではないが、フランスと外国との間に紛争が生じたときには、フランスを支持するものである。




(参照)

"Positive Signale aus Washington", Der Spiegel 2005, Nr. 4, Seite 119-121

 



(2005年4月11日 記)