裁判所は判決を下す前に、必ず口頭弁論を開かなければならない(必要的口頭弁論 〔第87条第1項本文〕)。そのため、訴状の審査が終了すると、裁判所は期日を指定し、当事者を呼び出さなければならない(第139条、規則第60条参照)。この期日において、原告は自らの請求を陳述し、他方、被告は、原告の請求に対する自らの見解を述べる。
このように、当事者には期日に出席し、口頭で陳述することが求められるが、実際には何からの理由で欠席する場合がある(出席しても、弁論を行わずに退席すれば、欠席と扱われる)。これには、@当事者の一方(つまり、原告または被告のいずれか)のみが欠席する場合と、A双方が欠席する場合がある。以下では、まず、@のケースについて説明するが、欠席が直ちに不利な状況をもたらさないようにするため、民事訴訟法は、@第1回目の口頭弁論期日に欠席する場合と、A第2回目以降の期日(続行期日)に欠席する場合に分けて規定している。
1. 当事者の一方の欠席
1.1.最初の口頭弁論期日における欠席
第1回目の口頭弁論期日において、原告は 訴状 を陳述し、また、被告は 答弁書 を陳述することになっているが、いずれかが欠席しても審理を開始するため、訴状または答弁書、その他の準備書面に記載した事項が陳述したものとみなされる。つまり、原告が欠席する場合には、訴状や準備書面に書かれたことが陳述したものとして扱われ、また、被告が欠席する場合には、答弁書 や準備書面に記載された事項が陳述されたものとして扱われる(陳述擬制、第158条)。
上述したように、欠席者が出廷しているのと同様に手続を進行させ、直ちに欠席者に不利な判決が下されることを避ける原則を 対席判決主義 という。つまり、当事者が口頭弁論期日に欠席する場合であれ、出廷しているのと同様に扱い、当事者の主張に基づき判決(対席判決)が下される。これに対し、かつては、出席当事者の主張のみを考慮し、欠席者に不利な判決(欠席判決)を下すことが認められていた(明治民事訴訟法第246条〜第265条)。つまり、原告が欠席するときは訴えを却下し、また、被告が欠席するときは自白を擬制し、原告の請求を認容したが(原告勝訴)、このような制度はすでに廃止されている。
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