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EU拡大


EUの「深刻な危機」の影響

 EUが直面している 「深刻な危機」 は、EU拡大にも影を落としている。6月16・17日の欧州理事会において、多数の加盟国首脳は、さらなる拡大について再検討する必要性があることを認めた。特に、オランダの Balkenende 首相 は、6月1日の国民投票で欧州憲法条約の批准が否決された要因の一つに、迅速なEU拡大が挙げらるとし、再考を促した。他方、拡大そのものは支持しているとされる(参照)。

 同様の見解は、スウェーデンの Persson 首相からも発せられたとされているが(参照)、すでに 加盟協定 が締結され、2007年または2008年の加盟が決まっているブルガリアとルーマニアについては(詳しくは こちら)、計画に変更はないとされている。 もっとも、両国とEU加盟25ヶ国の内、一国でも加盟協定の批准を見送る場合には、加盟は実現しえないが、従来、そのような例はない。

 加盟交渉の開始がすでに決定されている トルコ や、開始時期が検討されている クロアチア についても影響はないと解されるが、オーストリアの Schüssel 首相は、正規加盟ではなく、特権的パートナーシップ の締結をも考慮に入れ、フレキシブルに対応すべきであると述べている(参照)。代替案の可能性は、欧州委員会の Verheugen 副委員長(前EU拡大担当委員)からも発せられている(参照)。

 これに対し、直接的な影響を受けるのは、ウクライナやバルカン半島諸国など、まだ加盟交渉の開始すら検討されていない国であると見られている(参照)。




(参照) Der Standard v. 17. Juni 2005 (Nach Verfassungsdebakel: Staatschefs zurückhaltend zu Erweiterung zurückhaltend zu Erweiterung)


Der Standard v. 19. Juni 2005 (Brüssel steigt auf Erweiterungs-Bremse: Verheugen für Zurückhaltung: "Es gibt auch andere Möglichkeiten als die Vollmitgliedschaft"
)



欧州憲法条約批准危機の影響



(2005年6月19日 記)