E C 法 が 国 内 法 に 優 先 す る 理 由

 

 EC法の優先性について、EC条約は規定しておらず、EC裁判所の判例法を通して確立されているが、同裁判所の論拠は以下の通りである(See Case 6/64, Costa/ENEL [1964] ECR 1251)。


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慣習的な国際条約とは異なり、E(E)C条約は独自の法体系を形成している。

批判 EC法の特殊性

A
限られた分野であるにせよ、加盟国はECに主権を委譲しており、これによって、加盟国やその国民を拘束する法規が制定されていること

批判 なお、EC裁判所は、主権の委譲に関する国内(憲法)上の制限や要件については触れていない。


B
EC法の「精神」上、加盟国は国内法を優先させることはできない。
加盟国法が優先するとすれば、ECの目的は達成されないし、EC法の適用は、加盟国間で異なることになる。

C
後に制定された国内法が優先するとすれば、EC法上の義務の履行は絶対的ではなくなる。

D EC条約第189条(現第249条)は、規則の直接適用性 ( 参照) について定めている。

批判 もっとも、この規定は、規則(第2次法)の直接適用性について定めるのみで、国内法に対する優先性について謳っているわけではない。また、第1次法の直接適用性や優先性について定めているわけではない。
  

 

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