ECは、1950年代、加盟国政府のイニシアチブに基づき発足し、また発展してきた。その設立から早50年以上が経過したが、加盟国主導の統合という枠組みは、基本的に変わっていない。加盟国政府の代表で構成されるEU理事会を主たる立法機関とし、加盟国政府によって選出される欧州委員会に(副次的な)立法権ないし行政権限を与える一方で、EU市民の代表機関である欧州議会の立法権限を限定することは、国内憲法上の民主主義の要請を満たしていないとされ、厳しく批判されている(民主主義原則上の欠陥ないし民主主義の赤字)。加盟国からEUに、ますます多くの権限が委譲され、EUの政策分野が拡大するにつれ、民主化の要請も強まっているが、それにもかかわらず議会の権限強化の動きが緩慢なのは、国益に関わる重要事項ないし伝統的に国家の特権されてきた案件について、加盟国が自らの権限を放棄せず、欧州議会による関与を排斥したいためであるが、他方、以下の観点より、欧州議会の権限強化にも問題があるとされている。
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