前述した点からも分かるように、外務理事会の議長を除き、理事会の議長は各国が交替して務める。また、同議長と欧州理事会議長は異なり、後者は2年半の任期が与えられた専任職である。
従来の組織・構成については こちら
2.任務・権限
従来の任務・権限を参照
3.意思決定手続
リスボン条約は、立法手続を経て制定される「法律」と、そうではない第2次法とを区別しているが、理事会が「法律」案について審議し、また、採決をとるとき、その会議は公開されることが初めて基本条約の中で明記された(EU条約第16条第8項第1文)。
なお、「法律」としての性質を有さない第2次法については、その限りではない。そのため、理事会の会議は、立法作業(「法律」の制定)とそうでないものとに分けられる(第2文)。
理事会の議決は、原則として、特定多数決による(第16条第3項)。これに対し、従来は絶対多数決が原則と定められていた(EC条約第205条第1項)。
すでにニース条約は、二重の特定多数決制度を導入し、加盟国はその適用を要請しうるとしていたが(EC条約第205条第4項、詳しくは こちら)、リスボン条約はこれを原則としている(EU条約第16条第4項)。この新しい手続によれば、2014年11月1日より、特定多数決は、①各国に1票の持票が与えられ、55%の加盟国(かつ、少なくとも15の加盟国)が賛成し、かつ、②これらの国の国民が、全EU市民の65%に相当するときに成立する(第16条第4項第1款)。他方、法案の採択を阻止するには、少なくとも4ヶ国が反対しなければならず、3ヶ国以下の場合は、採択される(第2款)。
なお、理事会が、欧州委員会や 共通外交・安全保障政策の上級代表 の提案を受けず、法令を制定するときは、特定多数決の要件が厳格になる。つまり、①72%の加盟国が賛成し、かつ、②これらの国の国民が、全EU市民の65%に相当していなければならない(EUの機能に関する条約第238条第2項)。
前述した点からも分かるように、各国の持票数が人口に照らして決められていた 従来の制度 (EC条約第205条第2項)は廃止され、2014年11月1日からは、新制度による(EU条約第16条第4項)。もっとも、特に、ポーランドの要請に基づき、移行措置が設けられ、2014年11月1日より2017年3月31日までの期間、各加盟国は
ニース条約体制 の適用を要請しうる(EU条約第16条第5項、リスボン条約附属第36議定書第3条第2項参照)。さらに、ある一定数の加盟国による拒否権の行使に関する特例(いわゆる、イオアニア条項)も存続する(リスボン条約を採択した政府間協議の最終文書附属第7宣言参照)。
4.リンク
|