ローマ条約締結50周年を記念し、EU加盟27ヶ国は、2007年3月25日、欧州委員会および欧州議会と共同で、ベルリン宣言を採択した。以下の3部からなる同宣言は、27ヶ国体制に発展する一方で、欧州憲法条約 の発効手続が中座し、半世紀におよぶ統合史で最も深刻とされる 危機的状況 の中で発せられた。EU加盟国の団結性を示すとともに、欧州憲法条約に代わる新条約制定の必要性が確認されている点で重要である。 なお、同宣言はEU市民に向けられているが、法的拘束力はない。
I.EUの基本的価値
EUは、人の尊厳は不可侵であり、権利保護と男女平等を理念とする。また、平和、自由、民主主義、法の支配、相互の尊重、豊かさと安全、寛容、参加、正義および団結の維持・確立に努める。
EUは個々の加盟国の独立性と多様な伝統を保護し、加盟国や地域と役割を分担する。
II.今日的課題への取り組み
現在、我々は、一国の枠を超えた大きな課題に直面しており、EUレベルでの行動が求められている。その例として、社会モデルの構築、域内市場・通貨同盟の発展、国際テロ対策などが挙げられる。また、EUは、世界平和の確立や地球環境の保護に貢献する。
III.新しい基本条約の制定
EUは今後も開かれた状態にあり、加盟国の意思に基づいて運営される。また、内外の民主主義、安定性と富の確立に貢献する。
50年間にわたる欧州統合は、前世代の夢を実現するものであったが、新しい時代の要請に応えるため改革が必要である。これを実現するための基盤(欧州憲法条約に代わる新しい条約)を、2009年の欧州議会選挙 までに設ける。
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