2007年3月25日、ローマ条約制定50周年を祝う式典がベルリンで開催された。式典中の演説において、開催国ドイツの Merkel 首相(写真左)は、戦後ヨーロッパの統合をより鮮明に象徴する都市は他にないとし、ベルリンで「ヨーロッパの50回目の誕生日」が開催される意義を強調した。また、ベルリンの壁の東側(旧東ドイツ)で暮らした自らの生い立ちを交えながら、半世紀にわたる欧州統合の成果を称賛するとともに、今なお不正や抑圧に苦しむ諸国(ベラルーシなど)にとって、「ヨーロッパ」は希望の象徴であるとした。さらに、長い歴史の中で、この50年は「一瞬」に過ぎず、50年後も、「平和、自由、民主主義、法の支配のヨーロッパ」を祝うことができるかどうかは分からないとする一方で、来る50年は、「人」に焦点を当て、その尊厳や精神・経済活動の自由の保障を強化すべきであると訴えている。また、ヨーロッパ型社会モデル の確立、経済発展、環境保護、外交政策 や国際テロ対策など、近時の重要政策課題についても触れている。なお、発効が危ぶまれている 欧州憲法条約 については、(それに代わる)新たな基盤を2009年の欧州議会選挙までに設けることでEU加盟国は式典当日に合意し、ドイツ政府は、その議長国期間が終了する2007年6月末までに、計画案を提示するとの目標を示した。
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