4. ECの原産地規則
(1) 非特恵関係の原産地規則 (2) 特恵関係の原産地規則
(1) 非特恵関係の原産地規則
ECとの間に自由貿易協定が締結されていなかったり、また、発展途上国としてECへの輸出が優遇されない場合には、ECとその国の間には特恵関係が存しないものとして、非特恵関係の原産地規則が適用される。
非特恵関係の原産地規則は、EU理事会 の 規則 2913/92号 (CC) の中に盛り込まれているが、それによれば、以下の国が原産地国となる。
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1国内で完全に取得または生産された場合は、その国が原産地国となる(完全生産基準)(第23条)。
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複数の国が関与している場合には、最後の実質的加工ないし工程がなされた国となる(実質的工程基準)。なお、最後の実質的加工ないし工程は、(a) 経済的に正当化され、(b) そのための施設を備えた施設で行われ、(c) 新製品が製造されるに至るか、または、重要な製造工程に該当しなければならない(第24条)。 この基本原則に基づき、欧州委員会は、個々の物品ごとに、以下のような決定基準を定めている (Regulation No. 2454/93 (IPC))。
(a)
関税番号基準 輸入原材料と完成品の関税番号が異なる場合、完成地を原産地とする基準 (例) 繊維製品、陶磁器
(b)
加工工程基準 予め作成されたリストに基づき、ある工程が行われた国を原産地と指定したり(ポジティブ・リスト)、逆に、原産地に指定しないとするもの(ネガティブ・リスト)
(例)
ポジティブ・リスト
加工農産品、半導体、ボールベアリング 例えば、半導体の製造工程は、前工程(拡散工程)と後工程(組立工程)からなるが、高度な技術・精密さ、多額の研究投資を必要とする前工程を行った国が原産地となる。
ネガティブ・リスト
複写機 ドラムやローラーなどの非重要部分の製造を伴う組立工程が行われた国は、原産地に指定されない。
(c)
付加価値基準 加工により、元の製品に一定の付加価値が加えられた国を原産地に指定するもの
テレビ、ラジオなどの家電製品 組立工程において、付加価値が45%以上、上昇しているならば、組立地が原産地となる。45%未満の場合は、重要部品の原産地を完成品の原産地とする(重要部品ルール)。 なお、2つの国で組立てが行われ、それぞれ35%以上に達していながら、45%未満のときは、付加価値率の高い国が原産地となる(最高付加価値ルール)。