リスボン条約の批准に関し、ポーランドでは与野党間の対立が激化していた。批准に必要な国会議員の3分の2の賛成を得るには、野党の支持も必要であったことから、審議の動向が注目されていたが(詳しくは
こちら)、批准に強く抵抗してきた野党「法と正義」(Pis)が一転して賛成に回ったことを受け、2008年4月1日、下院(Sejm)は、リスボン条約の批准を承認した。
野党の方針大転換について、ポーランドの国内紙は、「国内政治史上、最大のエイプリル・フール」と報じているが(参照)、その背景には以下の政治的合意があった。リスボン条約の草案は、Kaczynski 大統領の所属する「法と正義」(Pis)が政権の座にあった2007年10月に採択されているが(詳しくは
こちら)、同党は、リスボン条約に 議定書 を設け、EU基本権憲章 の適用を排除することに成功した(詳しくは こちら)。現政権による議定書修正を阻止するため、「法と正義」(Pis)は、国内法(リスボン条約の批准にかかる国内法)の中で議定書の内容を確認するよう要請してきたが(参照)、Tusk 首相はこれに応じていなかった。もっとも、別の国内法の中で、政府はリスボン条約(前掲の議定書を含む)の改正に関し、議会と協議する旨を定めることで合意が成立した。野党が当初の要請を撤回し、歩み寄った背景には、4月2日のNATO総会に出席するため、Kaczynski 大統領がブカレストに向かう前に国内問題を解決するのが望ましいとされたためと解されている(参照)。
なお、リスボン条約の批准決定には、さらに上院の承認が必要となる。
2008年4月2日、上院は、圧倒的多数の議員の支持により、リスボン条約の批准を了承した(賛成票74、反対票17、棄権6)(参照)。正式な批准には、Kaczynski 大統領の署名が必要になるが、同大統領は、まず与党が合意(前述参照)を実行する必要があるとしている。
Kaczynski 大統領、批准書への署名を延期 
リスボン条約の批准は、すでに、ハンガリー、スロベニア、マルタ、ルーマニア、フランス、ブルガリア の6ヶ国が決定している。
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