
スペイン国民投票 憲法を支持 |
EU加盟25ヶ国の内、10ヶ国は、欧州憲法条約の批准に関し、国民投票の実施を計画しているが(参照)、これらの国の先陣を切り、スペインでは、2005年2月20日に国民投票が実施された。投票率は42.3%に止まったが、76.7%の投票者は批准を支持した。反対票は17.3%、棄権票は6.0%であった。
スペイン
欧州憲法条約批准の是非を問う国民投票結果
(2005年2月20日実施)
賛 成 |
76.7% |
反 対 |
17.3 % |
棄 権 |
6.0% |
投票率 42.3%
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投票者の4分の3強が欧州憲法条約の批准を支持したことについて、スペインの José Luis Rodriguez Zapatero 首相は、我々スペイン国民は、新しいヨーロッパの歴史を作り、他のEU加盟国に良いメッセージを送ることができたと賞賛する一方で、他のEU加盟国も自国に続くことを訴えた(参照)。なお、Aznar 前政権下、スペインは憲法の採択に強く抵抗してきたが(参照)、現職の Zapatero 首相は、EU加盟25ヶ国の中で最も早く国民投票を実施することに意欲を示してきた(参照)。
他方、野党(国民党)の Mariano Rajoy 党首は、投票率の低さを指摘し、早すぎた実施を批判した(参照)。国民投票実施前、スペイン政府は、投票率が35〜40%に達すれば成功であると捉えており(参照 こちらも参照)、この値はかろうじて上回っているが、フランコ元将軍の死後確立した民主主義体制下においては、最も低い投票率となった(参照)。なお、昨年6月に実施された欧州議会選挙の投票率も同様に低かったが(参照 [スペイン45.1%])、今回の国民投票はこれをさらに下回っている。
なお、国民投票には拘束力はないが、与野党を問わず、多くの政党が支持を訴えてきたため、賛成票が過半数に達することは確実視されていた。Zapatero
首相は、憲法そのものよりも、欧州統合の重要性を訴えていたが(参照 こちらも参照)、今回の国民投票の結果を踏まえると、国民の大半は自国のEUへの参加を支持しているものとみることができよう。確かに、2004年5月の EU東方拡大 後、スペインがEUから受ける恩恵は従来より縮小されようが(参照)、過去の軍事体制や現在も晒されているテロの脅威を克服する上で、欧州統合は一つの良い答えであることは否定できない(参照)。
前述したように、今回の国民投票は拘束力がない。スペインは、国会の審議を経て、欧州憲法条約を批准することになる。
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2005年4月28日、スペインの国会(下院)は、2時間半にわたる審議の末、欧州憲法条約の批准を承認した。賛成票を投じた議員は311人であったのに対し、批准に反対した議員は、わずか19人であった。正式に批准するには、さらに上院の承認が必要であるが、上院の承認
(5月中の予定)は確実視されている。
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2005年5月18日、スペインの国会(上院)は、憲法条約の批准を了承した。 |
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