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欧州憲法



オランダの国民投票

オランダ国旗 欧州憲法条約の批准に先立ち、オランダは、2005年6月1日、国民投票を実施した(投票結果は こちら)。アイルランドのように、国内憲法上、実施が義務付けられていたわけではないが、最大野党の労働党(PvdA)や、グリーンレフト(GroenLinks)党、また、Balkenende 政権に参加している民主66党のイニシアチブに基づき、開催されることになった。他方、Balkenende 首相が属するキリスト教民主同盟 (CDA) は実施に反対していた。国民投票の法的基盤として、特別法が制定されている



隣国ベルギーでは法案が否決され、実施が見送られている(詳しくは こちら)。


 フランスと異なり、オランダでは、国民投票の結果に拘束力はなく、議会に決定権が与えられている。もっとも、投票率が30%を上回り、国民の意見が明確な場合には(つまり、賛成または反対意見が圧倒的である場合)、民意を尊重する意向を国内の主要政党は表明している。それには、国民に政治への参加を促す意義が込められているが、@ 2002年5月の国政選挙直前、 Pim Fortuyn 候補 が暗殺されたことや、A 2004年11月、 Theo van Goch 映画監督が殺害されたこと(詳しくは こちら)は、国内で大きな議論を引き起こしている。両氏は、反イスラム主義やイスラム系移民に対する批判的な発言で知られており、トルコのEU加盟 にも否定的であった。欧州憲法条約に関する議論も、この流れに沿うものであり、国民の率直な意思表示が期待されると同時に、EU懐疑派の台頭が懸念されていた。特に、最大野党の労働党は、欧州憲法は「EU合衆国」を建国し、オランダを滅ぼすものであるとし、批准反対運動を展開していた。また、Fortuyn 氏の「遺産」を承継し、極右政党は、トルコのEU加盟に反対する立場から、憲法条約の批准反対を訴えていた(参照)。




 New オランダ国民投票、批准を否決



(参照)

FAZ v. 27. Mai 2005 ("Niederlande: Die Falle des Parlaments")


欧州憲法条約の批准



(2005年6月2日 記)