判決に比べ、決定と命令は簡易な形式をとり、比較的簡易な案件について発せられるが、命令は裁判官(合議体をとる場合の裁判長、受命裁判官、受託裁判官など)がその資格で行う点で決定と異なる。他方、決定は裁判所によって下される。
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なお、文書提出命令(第223条第1項)や 訴訟手続の続行命令(第129条)は、文字通り「命令」ではなく、「決定」の形式をとるため、裁判所によって発せられる。
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判決書の例
これは給付判決の例であるが、主文は訴状における請求の趣旨に対応している(訴状の例は こちら)。
2. 判決の種類
以下では判決の種類について説明する。
2.1. 本案判決と訴訟判決
賃金の支払いを求める訴えが提起された場合、裁判所は、原則として、口頭弁論を開いて審理し(第87条第1項本文参照)、その結果、原告の主張を認め、被告に支払いを命じる判決(請求認容判決)や、原告の主張を退ける判決(請求棄却判決)を言い渡す。このように、原告の請求の当否に関する判決を
本案判決 という。
これに対し、訴えが訴訟要件や適法に上訴するための要件を具備していないため、不適法として却下する判決を 訴訟判決 と呼ぶ。
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なお、訴状に不備がある場合、裁判長は原告に補正を命令するが、原告がこれに従わないとき、裁判長は、命令で訴状を却下しなければならない(第137条第1項および第2項、詳しくは こちら)。これを 訴状却下命令 と呼ぶが、「命令」の形式で却下されるのは、訴えではなく訴状である。
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2.2. 終局判決と中間判決
上述した本案判決や訴訟判決のように、係属している審級の訴訟を終了させる判決を 終局判決 という。終了するのは係属している審級(原審)の裁判であり、上級審における裁判まで終結するわけではない。例えば、第1審裁判所としての地方裁判所が終局判決を下すとき、終結するのは同裁判所における裁判であり、第2審ないし第3審の裁判は終結しない。
判決を不服とし、上級審に上訴(控訴ないし上告)が提起されるとき、判決を下した裁判所を原審と呼ぶ。
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