除斥 は、裁判所が当事者の申立てに基づき、または、職権で決定するが、第23条第1項が掲げる除斥原因があるときは、除斥が決定されなければならない(第23条第2項、第25条)。第23条第1項が掲げる除斥原因があるにもかかわらず、行われた職務行為は無効となる(事前に除斥決定が下されていない場合であれ無効である)。また、除斥決定を無視してなされた裁判は、絶対的上告理由(第312条第2項第2号)および再審事由(第338条第1項第2号)となるため、上告および再審が認められる。また、即時抗告 により不服を申し立てることのできる決定が確定し、その決定に除斥されるべき裁判官が関与していたときは、準再審が許される(第349条)。
忌避 は、当事者の申立てに基づき、裁判所によって決定されるが(第24条第1項、第25条第1項参照)、単に裁判を引き延ばす目的で裁判官の忌避を申し立ててはならない。裁判所はこの申立てを容易に認めておらず、最高裁判所は、裁判官が被告の訴訟代理人(弁護士)の娘婿であるケースにおいても、公正な裁判が妨げられる事情があるとはいえないとし、忌避を認めていない(最判昭和30年1月28日、民集第9巻第1号83頁)。もっとも、この判例は厳しく批判されており、先例としての機能は疑われている。なお、担当裁判官が当事者自身の娘婿であるときは、除斥の対象となる。これは第23条第1項第2号において明瞭に定められている。
【参考】
裁判官の妻が当事者であることは除斥原因にあたるが(第23条第1項第1号)、裁判官の内縁の妻が当事者であることは除斥ではなく、忌避の原因となる(第24条第1項)。
除斥または忌避の申立てがあったとき、訴訟手続は、同申立てについて決定が下されるまで停止する。ただし、急速を要する場合は除く(第26条)。
裁判所が特定の裁判官の除斥・忌避に理由があると決定したとき、不服申し立ては認められないが(第25条第4項)、理由がないとする決定については、即時抗告 をすることができる(第5項)。
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