TOP      News   Profile    Topics    EU Law  Impressum          ゼミのページ



日 本、 E U の 中 国 制 裁 解 除 に 懸 念 示 す EUの旗


 
2005年5月2日、第14回目の日本・EU首脳会談がルクセンブルクで開催され、両者間に共通の政治・経済問題について話し合われた。日本側からは小泉首相が、また、EU側からは、欧州委員会の Barroso 委員長Ferrero-Waldner 委員(対外政策担当)、現EU理事会議長国ルクセンブルクの Juncker 首相、共通外交・安全保障政策の上級代表を務める Solana 氏らが出席した。

 主たる議題となった中国に対する制裁(武器輸出の禁止)解除について(詳しくは こちら)、小泉首相は、中国は軍事費を毎年10%以上増加させていること、台湾の独立阻止を目的とした反国家分裂法を施行したこと、また、北朝鮮問題を含めた東アジアの安全保障問題を指摘し、EUが制裁解除について考慮していることに大きな懸念を示した。これに対し、Juncker 首相(現EU理事会議長)は、日米両国の憂慮に理解を示した。なお、EU側の対応はまだ決定していない(詳しくは こちら)。

 日本、米国、ロシア、ヨーロッパが共同で計画している、国際熱核融合実験炉(ITER)の建設地の決定についても、日・EU間の溝は埋まらなかったが、早期に合意するものとされた。

 他方、北朝鮮の核開発計画については、完全放棄や6ヶ国協議への早期復帰を北朝鮮に求めることで日・EU首脳は合意した。また、EU側は、拉致問題解決に向けた日本政府の対応を支援する意向を示した。


 




日・EU間の協力関係強化


 2004年11月に就任した欧州委員会の Barroso 委員長 によれば、日・EU間の関係は、これまでになく良好で、従来の経済関係を超えた、政治的関係の強化が課題とされる(参照)。

 現在、両者間の行動計画は、以下の4つの分野に焦点をあてて実施されている。

  ・ 平和と安全の促進
  ・ 貿易の拡大
  ・ 国際問題への取り組み
  ・ 市民・文化交流

 欧州委員会は、特に、関税協力、WTO貿易自由化交渉(ドーハ開発アジェンダ)、核エネルギーの平和利用、地球温暖化防止対策などの分野で、日本との協力を重視している。 なお、日・EUのGDPは、世界全体の40%にも達し(参照)、両者が協力することによって、国際問題の解決に貢献することが期待されている。

 2005年は、日・EU市民交流年として、1000件の行事が日・EU内で開催される予定である。

日・EUの協力




(参照)

Die Welt v. 3. April 2005 ("Japan und EU uneins über Aufhebung des Waffenembargo gegen China")

欧州委員会の Press Release

欧州委員会のホームページ(日本との関係について)

中国に対する制裁解除の動き


EUの経済制裁


(2005年5月5日 記)



「EUの通商政策」のトップページに戻る