A. 国際私法の概念と適用


渉外事件
(国際事件)
の発生


18歳のドイツ人

@18歳のドイツ人は成年か?
矢印

矢印

矢印
裁判

どの国の裁判所に提訴すべきか

(国際民事訴訟法上の問題)

参照
矢印

矢印

矢印




日本の裁判所が管轄権を有する場合


法例に従い、適用すべき準拠法(実質法)を決定する
矢印

第3条
参照
準拠法の決定

@ ドイツ法

国際結婚

A16歳の日本人男性とアメリカ人女性は結婚しうるか
矢印

第13条
第1項
A 日本人男性には日本法

米国人女性には米国法




この準拠法の内容については検討しません。


 国際私法とは、渉外事件に適用される法令を指定する法律である。その意味で、国際私法は適用規範である[1]

 これに対して、指定された法令(例えば、ある国の民法や商法など(これを準拠法と呼ぶ)は、権利関係について具体的に定めたり(実体法)、その実現に必要な手続について定めており(手続法)、これらは実質法と呼ばれる[2]

実質法



 国際私法は抵触法または抵触規範(抵触規定)と呼ばれることも多い(第1回の講義のレジュメ参照)。これは英米で用いられている Conflict of Laws の訳語である。



準拠法の決定

 国際私法は、強行法規であるため、当事者が適用を欲すると否とにかかわらず適用される。その意味で、当事者自治の原則が適用される私法とは異なる[3]

 


    詳しくは こちら


 B. 日本の国際私法: 法例


 法例は、各論(第3条〜第27条、第34条)と総論(第28条〜第33条)に分けることができる。各論の規定は、民法典の規定と同じように配置されている。


     法例と民法の規定


 我が国の国際私法(すなわち法例)は、個々の法律関係ごとに、その何らかの要素を媒介にして準拠法を指定する( 第3回目の講義のレジュメ参照 )。この要素を連結点とよぶ。その例として、以下のものが挙げられる。

 

 @ 国籍(3条、第4条、第13条〜27条など)

 A 住所(第12条ほか)

  B 居所29条ほか

  C 常居所(第14条ほか)

  D 所在地10条ほか

  E 行為地7条第2項ほか

  F 婚姻挙行地(第13条第2項)

  G 事実発生地(第11条)

  H 密接関連地(第14条〜第16条)

  I 当事者の意思(第7条第1項ほか)


    詳しくは こちら

 

 C.抵触規則の欠缺

 

婚約に関する
問題
法例には定めがない  準拠法は?


 婚約など、我が国にはない法制度(ないしは法律関係)については、法例にも抵触規範が存在しない[10]

 解決方法

@ 法廷地法たる内国法によるべきであるとする見解[11]

 国際私法上、法廷地法である内国法と外国法とを平等に扱うことが望ましいため(内外法の平等)、この見解は妥当性に欠ける。

A 類推適用すべき規範があればそれを類推適用し、このような規範が存在しない場合には、法例内のその他の規定を考慮し[12]、また判例・学説または諸外国の国際私法規定を参考にして、適切な抵触規則を決定すべきである。

   a) 債権契約の一種として捉える見解

   b) 婚姻に準じて考えるとする見解(通説)



    詳しくは こちら



[1]      諸外国の法令の抵触を解決する法という意味で抵触法Conflict of Laws、また適用すべき法令の選択に関する法という意味で法選択法ともよばれる。

[2]      実質法とは、実体法(民法や商法)および手続法(民事訴訟法や破産法)を含む概念である。


[3]      なお、法例第7条など、当事者が準拠法を定めることができるとする場合もあるが、この場合であれ、第7条の適用そのものを当事者が否認することはできない。なぜなら、第7条を含めた国際私法規定は強行法規であるためである。

[4]      その他、「遺言の方式の準拠法に関する法律」や「扶養義務の準拠法に関する法律」などの特別法も制定されている。

[5]      「法例」の名称の由来について、道垣内「ポイント国際私法総論」14頁以下参照。

[6]      この点について、最判昭和561016日(マレーシア航空事件)民事訴訟法判例百選I [新法対応補正版]40頁以下(渡辺)および渉外判例百選[3]97頁以下(高桑)を参照されたい。本件において、最高裁は、管轄配分説によるとも解しうる表現をとりながら、民訴法上の土地管轄に関する規定は条理にかなうとして、民訴法の規定を適用しているため、結論としては逆推知説によっている。

[7]      最判昭和39325日・民事訴訟法判例百選I [新法対応補正版]42頁以下(貝瀬)参照。その他の親族事件の裁判管轄について、親権者の指定・変更に関して、静岡家裁審判昭和62527日・渉外判例百選[3]212頁以下(岡野)または養子縁組に関して、千葉河西市川出張所審判平成元年623日・前掲渉外判例百選216頁以下(不破)参照。

[8]      旧法例第4条第2項は、禁治産宣告について定めていた。

[9]      この点につき、例えば、山田・早田「演習国際私法」(新版)有斐閣20頁以下参照

[10]     なお、我が国の民法上、非嫡出親子関係の成立には、事実主義(出生の事実により当然に親子関係が成立する)ではなく、認知主義(親の認知によって始めて非嫡出親子関係が成立する)が適用されるため、旧法例は認知に関してのみ規定していたが、現行法例は、事実主義の場合を含めて規定している(第18条第1項)。これは、例えば、事実主義は多くの国で認められていることや子の利益にかなうことなどの理由に基づく。

[11]     内国法を優先させるという考え方は、内国の利益の維持や法適用の利便性といった観点ら、法例においても多数採用されている(例、第3条第2項、第4条第2項、第5条など)

[12]     婚約の例でいえば、婚姻に関する規定(法例第13条および第14条)を類推適用するのが妥当かどうか検討する。






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