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練習問題

EUとは


〔模範解答〕
 誤りは二つあります。いずれも小さな誤りですが、EU法を学ぶ上では重要な点ですので、注意してください。

人の移動の自由、シェンゲン協定制度

  まず、最後の段落(⑩の段落)内の「例えば、EUの政策によって、人々はパスポート検査を受けることなく、他の加盟国内に入れるようになりました」という点が誤りです。

 確かに、EUの政策(詳細には、シェンゲン協定を基礎として発展してきた制度、テキスト30頁)によって加盟国間では国境検査が廃止され、人々はパスポート検査を受けることなく、他の加盟国内に入れるようになりました。しかし、この制度はEU全域で実施されているわけではありません。例えば、アイルランドは、この制度に参加していないため、この国からドイツやフランスといった国へ移動する際には、パスポート検査を受ける必要があります。同様に、冷戦終結後にEUに加盟した旧東欧諸国の中にも、この制度に参加していない国があります。これは、それらの国やアイルランドは海に面しており、人々が比較的容易に、しかも、法を侵して国内に入ることができますが(つまり、密入国が比較的容易にできます)、入国後、他のEU加盟国へ自由に移動できるとすれば、他の加盟国の治安が悪化するおそれがあるためです。

  • EU内の人の移動の自由やシェンゲン協定制度について、テキストの30頁を読んでください。


ユーロの導入

 次に、同じく最後の段落(⑩の段落)内の「EUによって全加盟国の通貨は統一されている」も誤りです。確かに、EUは加盟国の通貨を統一しています。この単一通貨をユーロと呼びますが、ユーロを導入しているのは、2020年5月現在、19ヶ国です(テキストの16頁の表内で、波線が付いている国はユーを導入しています)。つまり、スウェーデン、デンマーク、ポーランド、クロアチアを初めとする8ヶ国はユーロを導入していません。

 なお、EU法上、加盟国はユーロの導入が義務づけられていますが、自国の通貨を尊重するスウェーデンやデンマークには例外が認められています。他方、ポーランドやクロアチアといった旧東欧諸国は、ユーロ導入に必要な要件を満たしてないため、導入が許されていません。

 この点について、テキスト37頁を読んでください。



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