1993年11月にEUが発足して以来、移民・庇護政策や国境検査は、第3の柱における案件として扱われてきたが(参照)、1999年5月発効の アムステルダム条約 に基づき、これらは、第1の柱、すなわち、ECの管轄事項に移されることになった。これに伴い、EC条約第3部(ECの政策)には、第4編「ビザ、庇護、移住、その他の人の移動の自由に関する諸政策」(第61条〜第69条)が挿入されている。
EC条約第61条は、新しい政策の管轄事項として、以下の5点を挙げている。
(a)
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人の移動の自由の保障
これを実現するため、EU域境における検査(EC条約第62条参照)や犯罪の予防・撲滅(EU条約第31条第e号参照)の他、以下の規定が所定の手続に従って制定される。
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第3国の国民に発給される短期間のビザや短期旅行(EC条約第62条)
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庇護申請の審査に関する加盟国間の管轄配分(第63条第1号)
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難民や保護を必要とする者の暫定的保護(第63条第2号) |
第61条第a号は、アムステルダム条約が発効してから5年以内にこれらの措置を発すると定める。
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(b)
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第3国の国民の庇護、移住および保護に関するその他の措置(EC条約第63条参照)
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(c)
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民事司法協力(第65条参照)
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(d)
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加盟国の行政機関間の協力や欧州委員会との協力の強化・促進(第66条)
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(e)
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刑事に関する警察・司法協力 (EUの第3の柱)
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なお、第61条は、上掲の案件を実施するための手続について定めていない。そのため、実施に際しては、その他の規定(第62条、第63条、第65条、第66条、EU条約第6編)が参照されなければならない。
移民政策について
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