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 1.はじめに

 EC条約第20条(旧第8c条)は、EU加盟国によるEU市民の外交的保護と領事保護について定めている。これは、マーストリヒト条約リストマーク 参照) に基づき導入された比較的新しい規定であるが、第3国に滞在するEU市民を保護(領事機関による保護)しようすると動きは、すでに1985年に発表された Adonnino 部会の最終報告書 (Bull. EG, Beilage 7/1985, 22) の中に見て取れる。そして、マーストリヒト条約制定手続において、正式に、スペインと欧州委員会より提案されているが、それによれば、EU加盟国だけではなく、EU自身も、第3国に滞在するEU市民に保護を与えるべきとされていた。しかし、最終的には、EUによる保護は除外され、現在の規定の形に収まっている。EC条約第20条に相当する規定は、欧州基本権憲章(第46条)にも盛り込まれている。

 前述したことからも読み取れるように、EC条約第20条は、EU市民に外交的保護・領事保護を受ける権利を与えているが、これは、EC条約第17条第2項が定めるEU市民権の一つにあたる (リストマーク 参照) 。この権利を保障するため、EU加盟国の外交使節や領事機関は、共通外交・安全保障政策 (リストマーク 参照)の場面において、調整を行うことになる(EU条約第20条参照 (リストマーク 参照))。

 


  参考

Kaufmann-Bühler, in: Lenz (Hrsg.), EU- und EG-Vertrag, 3. Auflage, Köln 2003, Art. 20 EGV
 

Kluth, in: Calliess/Ruffert (Hrsg.), Kommentar zu EU-Vertrag und EG-Vertrag, 2. Auflage, Neuwied 2002, Art. 20 EGV


Magiera
, in: Streinz (Hrsg.), EUV/EGV, München 2003, Art. 20 EGV