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域内市場におけるサービス提供に関する指令案


リストマーク 医療サービス

医者 医療行為も、EC条約が自由な提供を保障する「サービス」の中に含まれるが(参照)、サービス指令は、医療サービスに関する国内法の調整を意図していない。また、現在、自由化ないし民営化されていないサービスを自由化ないし民営化しようとするものでもない。そのため、ある加盟国で私立病院の設置が認可されていない場合、指令によって、これが認められることにはならない。これに対し、すでに私立病院の設置が認可されている場合には、他の加盟国の企業が差別され、その参入が不相応に規制されてはならず、サービス指令は差別的かつ不相応な規制の撤廃について定めている。さらに、情報の提供義務やサービスに対する行政の監督について規定している。

 EC裁判所は、サービス提供の自由によって、サービスを受ける権利も保障されることを明らかにしている(参照)。また、病院外でなされる診療行為(歯の治療や専門家によるアドバイスなど)については、他の加盟国内でも診療を受け、診療費の負担に関し、自国の社会保険機関の同意を事前に得ていない場合であっても、支払った費用の払い戻しを一定の範囲で請求しうる患者の権利を認めている(これに対し、病院内でなされる診療行為については、加盟国の医療政策・計画に影響を及ぼすため、認めていない)。この点を踏まえ、サービス指令は、@ 病院外の医療行為と病院内の医療行為の違い、A 前者については、保険機関による事前の同意の廃止、B 他の加盟国で患者が支払った費用の払い戻しの制限などについて定めている(指令案第23条)。



  本国法主義の適用について

 一般に、医療サービスは、施設(病院、老人ホームなど)の設置を必要とするため、開業の自由 の適用事例となる。他の加盟国内に施設が設けられる場合には、その国の規則に従わなければならないため、本国法主義 は適用されない。

 これに対し、他の加盟国内に施設を設置せず、サービス提供者が国境を越えて診療行為を行うような場合は(例えば、ドイツの医者がフランスに行き、診察する)、本国法主義に服するが、例外も設けられている。例えば、職業資格や特定の医療行為に関し、受入国は自国の法令を適用することができる。


 

(参照)

欧州委員会の公式サイト

 ・ Frequently asked questions

AVサービス

郵便、電気、ガス、水道の供給サービス


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(2006年1月29日 記)



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