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"Be cool - don't smoke"


 喫煙の健康に及ぼす悪影響を重視し、EUはかねてより禁煙運動を実施しているが、2004年10月22日、David Byrne 欧州委員(消費者・健康保護政策担当)は、喫煙の悪影響を警告するパッケージ案を発表した。その中には、以下のような図案が含まれている。

癌に冒された肺
「喫煙は肺癌の原因となり、死につながる」

パッケージ

死体置き場におかれた死体
「喫煙者は早死にする」

パッケージ

喉に大きな腫瘍のある男性
「喫煙は、痛みの伴う死へと徐々に進行することがある」

パッケージ

ベットの上で葛藤する男女
「喫煙は血液の循環を妨げ、性交不能の原因になりうる」

パッケージ

胎児
「喫煙は胎児に害を与える」

パッケージ



 このようなショッキングなパッケージ図案に対し、Byrne 欧州委員は、我々はタバコの悪影響についてショックを受けるべきであり、申し訳ないとは思っていないと述べている
参照

 示されたパッケージ案を実際に採用するかどうかは、EU加盟国の判断にかかっているが、アイルランドやベルギーでは、来年にも採用されると見られている。

 パッケージ上で喫煙の悪影響について明瞭に警告するキャンペーンには、7200万ユーロもつぎ込まれる予定であり、とりわけ、若者を対象にしているが、同様に若者をターゲットにしたキャンペーン "Feel Free to Say No" は、2002〜2004年にも実施されている参照
 




   (参考) リストマーク 欧州委員会の公式サイト
  喫煙に関する総合ページ
  Press Release
  Feel Free to Say No キャンペーン
  タバコに関する報告書

リストマーク 新しい禁煙運動キャンペーン "Help"

リストマーク EUのタバコ広告規制について (EU法講義ノート)

リストマーク健康ネット」のページ

リストマーク EU内の禁煙者、さらに低下 New

このページの写真は、すべて Audiovisual Library European Commission より提供されています。



(2004年10月23日 記)





タバコ税の引き上げと喫煙量


 タバコ広告の規制が、どの程度効果的かどうかは争いのあるところであるが、増税の効果も同様に明らかではない。ドイツでは、2004年3月1日のタバコ税の引き上げによって、8%の喫煙者は禁煙を余儀なくされ、調査対象者の7分の1は喫煙量を減らしているとされるが、喫煙者の多くは割安な製品や密輸品に流れているに過ぎないとの見方もある。なお、タバコ業界は、2004年のタバコ税は、前年の141億ユーロから138億ユーロに減少すると見ている。

(参照) Saarbrücker Zeitung v. 30./31. Oktober 2004, Seite 1 (Griff zur Zigarette ist vielen zu teuer)


(2004年11月1日 記)





ドイツのタバコ税引き上げ

 タバコ税を急激に引き上げる国もある中(例えば、イギリス)、ドイツでは、業界への影響を考慮し、段階的な引き上げが実施されている。2004年は、3月に続き、12月にも増税が行われるが、2000年秋から現在(2004年秋)までに、1箱当たりの税は59%も上昇している。これに対し、製品自体の価格(本体価格)は、11%上昇しているに過ぎない。


ドイツにおけるタバコ1箱の価格
最もポピュラーな”West”の場合

2000年秋 2004年秋
 本体価格 0,81 0,9
 税額 1,82 2,9
 合計金額 2,63 3,8

(単位:ユーロ)


 税収は健康制度の運営費に充てられるが、2001年9月11日の米国同時多発テロ以降は、テロ対策の資金源として、増税が行われている(2002年と2003年に、それぞれ、タバコ1本当たり、0,01ユーロ徴収)。


(参照) Stern (Schock für Raucher)