Top      News   Profile    Topics    EU Law  Impressum          ゼミのページ


 
イギリス国旗  ドイツ国旗  フランス国旗

英・独・仏 首脳会談 開催

 2004年2月18日、ベルリンにおいて、英・独・仏首脳会談が開催された。主な議題は EU の経済政策についてであったが、会談後、3国首脳は、EU の政策の重点は、経済成長と雇用問題におかれるべきであり、リスボン欧州理事会の決議 (リスボン戦略)に基づき、 2010年までに EU が世界中で最も競争力のある経済圏に発展しうるよう、経済・雇用政策の拡充をはかるべきであるとの声明を表明した参照。この政策課題を実現するために、企業活動や研究開発の支援・促進、知的所有権保護の改善、雇用の創出や労働・社会保障制度の改革が必要とされている。また、経済改革やリスボン戦略の実現を可能にするため、欧州委員会副委員長は、経済問題を専門的に扱うべきであるとしているが(なお、このいわゆる「スーパー欧州委員」は、リスボン戦略に関する EU の政策決定手続に参加しうるものとされる)、現ドイツ首相が、このポストに就任することも考えられている。この声明が直ちに EU の公式な政策決定になるわけではなく、来る3月25・26日の欧州理事会の場では、その他の EU 加盟国首脳や欧州委員長を交えて、さらに審議される予定である。なお、会談の成果は書簡にまとめられ、欧州理事会議長と欧州委員会委員長宛に送られた。

 この会談に先立ち、イタリアを始めとするその他の EU 加盟国や新規加盟予定国からは、3大国は 欧州政治をを牛耳ろうとしているのではないかとの懸念が表明されていたが、会談後、 Blair 首相と Schroeder 首相は、英・独・仏は、人口だけではなく、経済的にも、EU 全体の過半数を占めていることを指摘する一方で、何人も支配しようとするものではないとし、フランス革命当時の代表組織になぞらえた評議会の結成を否定した。もっとも、拡大 EU 内における発言力の維持・強化を目的とした政策協調であることは明らかである。イラク戦争や欧州憲法をめぐる近時の議論にも見られるように、強力な政治的指導者(国)が存在しない中、欧州統合は必ずしも円滑に推進されているとは言えない。この点において、3大国に寄せる期待は大きい。なお、新しいタイプのトロイカは、昨年来の独仏の緊密な政策協力にイギリスが加わったものと解されるが、イラクへの軍事攻撃に際し激しく対立した両陣営が、関係を改善しつつあることは、EU にとっても望ましいことである。



 参考 ドイツ連邦政府のホームページ
会談後の声明 (欧州理事会議長と欧州委員長宛の書簡) 〔英語〕 〔独語〕