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 欧州委員会の構成
Prodi 欧州委員長(前列中央)と19名の欧州委員

写真提供 Audiovisual Library European Commission
         

1. 現行制度
 現行法上、欧州委員会は、20名のメンバーで構成されているが、各国より、少なくとも1名の委員が所属している(EC条約第213条第1項参照)。なお、独、英、伊、仏、西の5カ国からは各2名、また、その他の12カ国からは各1名、委員が擁立されている。

   現行制度



2. EU拡大後(ニース条約)
 2004年5月1日、予定通り10カ国がEUに加盟する場合、新規加盟国より1名ずつ、委員が新たに選出される(ニース条約附属「EU拡大に関する議定書」第4条第1項参照)。そのため、委員会の総数は30名になるが、2004年11月1日より、独、英、伊、仏、西の5カ国出身の委員は各1名に制限される。その結果、メンバーの総数は、25名となる。

   ニース条約に基づくEU拡大後の欧州委員会の構成



3. 欧州憲法
 これに対し、欧州憲法草案第25条第3項によれば、2009年11月1日より、欧州委員会の構成は以下のようになる。

議決権のあるメンバー
委員長、副委員長(EU外相兼任[同第27条第3項参照])、その他の13名の委員

議決権のないメンバー 上記のメンバーを擁立しない加盟国より各1名の委員

 議決権のあるメンバーの任命は、各加盟国に平等に行われるものとされるが、各国の人口や面積を考慮することもできるとされる(同第25条第3項参照)。

 議決権を有するメンバーを15名に制限する趣旨は、委員会組織の巨大化を防ぎ、その議事運営能力を高めることにある。また、委員は加盟国の利益の代弁者ではないため、現行制度のように、各国より少なくとも1名、委員が選出される必要はないとされている。これに対し、中小国は、議決権のない委員の任命に反対の立場を表明しているが、プローディ委員長も有力な反対論者の1人である。



11月4日更新

[参考] 現在の委員会メンバーの任期は 2005年1月までであるが、次期、委員長候補は、2004年6月(欧州議会選挙終了後)に選任される予定である。現職のプローディ委員長の出身国や党派を考慮し、次期委員長には、(北欧)中小国出身で、保守系の政治家が選出されるものと考えられる。なお、独仏の賛成が得られないため、新規EU加盟国出身者が擁立されることはないと考えられている。
 
  委員長の選出について 入稲福『ユーロ導入後のEU』平成法政研究第4巻第1号53頁以下(66頁以下)

  次期委員長の選出について
Die Press.com (2003年11月4日付) [ドイツ語]