上掲の判決において、EC裁判所は、EC法上の根拠に欠け、無効とされる協定であれ、一方的かつ直ちに破棄することは国際法に反するとし、協定は2006年9月30日まで有効であること、また、それまでに新たな協定を締結するよう、ECの諸機関に要請していた(詳しくは
こちら)。しかし、この期限までに新協定は締結されず、10月1日以降、EC・米国間には法律の欠缺状態が続いている。新協定の締結が難航しているのは、これを機に、米国が提供すべき情報項目の増加を要請し、これにECが反発しているためとされている(参照)。
なお、米国は、旅客情報の伝達を拒む飛行機の乗り入れを拒んでいるため、EC(EU)加盟国の航空会社は、協定が締結される前に適用されていた2国間協定に従い、情報を提供している。例えば、オーストリア航空は、かつてのオーストリア・米国間の合意に基づき、10の旅客データを米国当局に提示しているとされる(参照)。なお、2004年5月に締結されたEC・米国間の協定は、34項目の開示を要求していた。
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