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 元ポーランド首相のBuzek氏、第13代欧州議長に選出

Buzek新議長

 2009年6月の欧州議会選挙後に発足した新しい欧州議会は、7月13日、ストラスブールで初の総会を開き、ポーランド出身の Jerzy Buzek 議員(写真右、保守系)を新しい議長に選出した。ポーランドがEUに加盟したのは2004年5月であるため、Buzek氏は加盟当初から(厳密には翌6月の欧州議会選挙で選出されて以降)欧州議員として活動しているとはいえ、その経歴は5年あまりに過ぎない(なお、前任の Hans-Gert Pöttering 議長は、1979年に初の直接選挙 が実施された当時より議員を務めている)。この期間中は産業・研究・エネルギー部会に属し、2006年には科学研究・テクノロジー部門で「Member of the Year」に選ばれているが、決して目立つ存在ではなかった。しかし、2009年6月の選挙で、自らが属する保守系会派が大勝利を収め、第1党派となったことを受け、旧共産国出身の Buzek 氏に白羽の矢が立った。会派内の候補者選びでは、Mario Mauro 議員(イタリア)を破っている。

 なお、欧州議員の任期は5年であるが、これまでの例に倣い、議長の任期は2年半とし、残りの任期期間は、第2党派である社会党会派から選出することで合意が成立していたため、社会党会派(および第3党派である自由党会派)からも支持された。対立候補は、左派政党会派が推す Eva-Britt Svensson 議員(スウェーデン)のみであり、投票結果は555対89であった(議員定数は736)(参照)。

 Buzek 新議長は、1940年、現在はチェコ領となっているシュミウォヴィツェ(Smilowice)で生まれ、大学教授(専門は技術工学)としての経歴も持つが、1980年代は反共産主義運動に参加している。また、1997年から2001年までは、ポーランド首相を務め、母国のNATO・EU加盟に貢献した。しかし、首相として臨んだ国政選挙では、所属政党 Sejm が一議席も得られないという辛酸を嘗め、政界に返り咲いたのは、前述した2004年6月の欧州議会選挙時であった。なお、ポーランドでは、1989年の冷戦終結以降、首相は再任されていない。

 2004年5月の東方拡大から5年が経過し、新加盟国である旧共産圏より議長が選出されたことの意義は大きいが、この重要なポストを旧東側に割り当てることで、欧州委員長や(リスボン条約発効後に新設される)EU理事会議長やEU外相は「旧西側」から選出するといった政治的かけひきも介在している(参照)。
 
 議長期間中の主要課題としては、@ 次期欧州委員会メンバーの承認、A 経済・金融政策、B 地球環境問題、C EU拡大、D イランや中国との外交問題などが挙げられる。なお、すでに2009年6月の欧州理事会において、加盟国首脳は、Barroso 欧州委員長の再任を決定し、7月中に承認手続をとるよう議会に要請していたが、議会はこれを退けている。




◎ 歴代議長 ◎
Poettering 新議長


 第12代(2007年1月〜2009年7月)
 
Hans-Gert Pöttering 氏(ドイツ)
 保守系

  詳しくは こちら 
 



 第11代(2004年7月〜2007年1月) 
 
Josep Borrell Fontelles 氏(スペイン)
 社会党系

  詳しくは こちら


写真 © European Community 2004-2006



(参照)

欧州議会の公式サイト

欧州議長の公式サイト


FAZ v. 14. Juli 2009 (Buzek mit großer Mehrheit gewählt)
Buzek 氏のサイト


写真提供: © European Communities, 1995-2009

 

 

(2009年 7月 14日 記)