
2008年3月13・14日、ブリュッセルにおいて欧州理事会が開催された。例年、3月の会議では経済問題が主要議題の一つとなっているが、今回の会議でも、リスボン戦略 を初め、多くの案件について協議された。主な決議事項は以下のとおりである。
1. リスボン戦略
2005年3月の欧州理事会 は、リスボン戦略 の再スタートないし実施強化を決定しているが、2008年3月の会議では、その第2サイクル(2008〜2010年)の方針が承認された。また、知識の移動の自由を「第5番目の基本的自由」として位置づけ、その保障(研究者や学生の移動の向上、EU研究者の労働・雇用条件の改善、大学改革の推進、知的財産権の最適な利用など)と阻害要因の除去が必要であるとしている(para.
8)。また、企業活動環境の改善がEU経済の発展に重要であるとし、中小企業の設立支援策などが決定されている(para. 11)。
EC法上のその他の基本的自由については こちら
また、企業活動環境の改善がEU経済の発展に重要であるとし、その設立支援策などが決定されている(para. 11)。さらに、雇用・労働の柔軟性と安定性(Flexicurity)の調和といった社会的側面も重視されている(para.
16)。
2. 気候変化とエネルギー
地球環境の変化とエネルギー供給問題について、すでに、欧州理事会は度々、協議しているが、2008年は具体的な成果を生む年にしなければならないとし、立法化に向けた方針・計画が採択されている(para.
17)。また、域内電力・ガス市場のさらなる自由化の必要性が確認されている(para. 24)。
3. 金融市場の安定化
2007年秋以降、国際金融市場が不安定になっているのを受け、欧州理事会は、加盟国内の行政機関は、民間企業に対してであれ、必要な措置を講じる必要性を確認している(para.
32)。また、金融危機の克服に必要な措置を早期に採択するようEU理事会に要請している(para. 33)。
|