リスボン条約は、EUをさらに民主化しているが、国内憲法上の民主主義の要請を満たすか。または、EUの政策・立法は民主的に正当化されるうるか。
リスボン条約発効後も、EUは国内憲法上の民主主義原則に合致するわけではないが、EUは国際機関であり(リスボン条約発効後、EUには法人格が与えられる)、個別的授権の原則に従う限り、国内憲法の要請を満たしていなければならないわけではない(Rdnrn.
275 ff.)。また、欧州議会も、国内憲法上の原則(選挙の平等性)に合致していなければならないわけではない(Rdnrn. 278 und 284-287)。この民主的欠陥は、加盟国議会を通し正当化されなければならない(Rdnrn. 291 ff.)。連邦憲法裁判所が指摘する「加盟国議会を通した間接的民主的統制」の原則は、本判決の最も重要なキーワードになっているが、この原則、つまり、国内議会の権限強化は、リスボン条約の重要事項にもあたる(Rdnrn.
36-38)。
EUの機能に関する条約第82条第3項および第83条第3項は、理事会の立法手続を停止させる権利を加盟国に与えているが(いわゆる緊急停止手続)、ドイツ基本法に照らすならば、理事会におけるドイツの代表は、この手続において、ドイツ議会の見解に拘束されなければならない。
また、リスボン条約は、条約改正手続を経ない条約の実質的な改正を可能にしているが、その審議に際し、加盟国政府は国内議会の見解に従わなければならず、議会が見解を発しないときは同意するものと解してはならない(詳しくは
こちら)。
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