トルコのEU加盟準備状況について調査している欧州委員会は、2006年11月8日、報告書を発表する予定であるが、ドイツの日刊紙 Financial
Times Deutschland は、10月31日付けの紙面で、委員会報告書の原案を発表し話題を集めている。かねてから委員会は、トルコにおける制度改革の緩みを批判しているが(詳しくは
こちら)、前掲のドイツ紙によると、委員会は、@拷問廃止、A軍部の統制(政治に対するトルコ軍の影響力排除)、B表現の自由の保護の点において、制度改革のテンポが緩んでいるとされる。さらに、キプロスからの船舶や航空機の乗り入れを禁止し続けていることも批判されている(参照)。
EU加盟に必要とされる制度改革の動きが鈍っていたり、新たに導入された制度が実効的に実施されていないことは、欧州議会 や専門家からも指摘されているが、その原因としては、2007年の国政選挙をにらみ、保守系政治家の Erdogan 首相は、保守派の反発を招く制度改革を控えていること、また、2005年10月に加盟交渉が開始されたことで、トルコ政府内には一種の安堵感が漂っていることなどが挙げられる。メディアのインタビューに対し、Erdogan
首相は、欧州委員会より批判されている刑事罰を廃止する予定はないと述べている(参照)。
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