Frits Bolkestein 前欧州委員(域内市場政策)の消極論
2004年10月、Prodi 欧州委員会がトルコとのEU加盟交渉の開始について審議した際(参照)、Frits Bolkestein 委員(域内市場政策担当、オランダ)は、交渉の開始に異議を唱えた。2004年12月14日付けの
FAZ 紙 では、当時の回顧録が掲載されているが、その概要は以下の通りである。
大きすぎ、貧しすぎ、異なりすぎること
トルコのEU加盟に反対する根拠として、Bolkestein 氏は、まず、トルコの領土の大きさを挙げている。また、そのほとんどはアジアにまたがっており、ヨーロッパに属するのは、わずか5%に過ぎないこと、その小さな地域に居住しているのは、国民の8%に過ぎないことを指摘している。
さらに、人口面でも大国であるトルコ(参照)がEUに加盟すれば、欧州議会の議席を含め、EUの立法手続に大きな影響が生じること、つまり、トルコの反対によって、議案の採択が妨げられる危険性について触れている(参照)。
EUと中東の架け橋?
現在、トルコはアラブ世界に距離をおき、ヨーロッパに接近しているため、そのEU加盟によって、イスラム社会との架け橋が築かれるとする見解は説得力に欠ける。
No と言える勇気を
トルコのEU加盟問題について、明瞭に No と言える加盟国首脳がいないこと指し、Bolkestein
氏は、政治家には自信が欠けていると述べている。つまり、議会、アメリカ、そして、トルコの反応(また、トルコの怒り)を恐れるあまり、加盟国首脳は、EU加盟の可能性を明確に否認していないと捉えている。また、トルコのEU加盟問題は、大きな政治問題であるにもかかわらず、加盟国政府はこれを積極的に取り上げていないとしている。
(参照) |
FAZ v. 14. Dezember 2004 ("Zu groß, zu arm, zu verschieden") |
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トルコのEU問題に関する議論
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