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EU支持率の低下の要因は、メディア報道


 在独欧州委員会代表部が発行する EU-Nachrichten の2005年第28号7頁には、Gesine Schwan 教授 へのインタビューが掲載されている。同教授は、ドイツとポーランドの国境近くにある ヨーロッパ大学ヴィアドリナ(Europa-Universitat Viadrina in Frankfurt/Oder)の学長を務めると共に、ドイツ・ポーランド協力制度のドイツ政府調整役を兼任している。

 EU統合に対する近時の支持率低下(参照)の現象は、ポーランドとの国境沿いの都市、フランクフルト・アン・デア・オーデルでも感じられかとの質問に対し、Schwan 教授は、もちろんここでは常に問題が存するが、ポーランドのEU加盟はポジティブな状況を生み出しており(ポーランドへの輸出は19%伸びている)、EUへの支持率が低下しているとは一概に言えないと答えている。

 次に、支持率低下の理由について、教授は、数週間毎に発表されるアンケート調査結果の影響を指摘しており、途切れることのないメディア報道に触れ、EU市民は自らの頭で冷静に考えることを止めているとしている。また、フランス国民投票 が議論に火をつけ、経済の国際化や欧州統合の発展について市民の不安を呼び起こすことになった点を指摘している。

 現在の問題の責任をEUに求めるのは誤りではないかという質問に対しては、確かにその通りであるが、国内経済が停滞し、失業者が増える中、多くの市民が自由化や国際化(つまりEU域内市場の統合)に不安を持つのは理解できると答えている。



(参照) Europäische Kommission, Vertretung in Deutschland, EU-Nachrichten, 2005, Heft Nr. 27, Seite 7 ("Interview mit Gesine Schwan: Globalisierung gestalten")


EUの新たな危機 



(2005年8月11日 記)