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E U 国 際 私 法 の 概 要 Pic


目 次


 はじめに
  
  I. アムステルダム条約発効前のEU抵触法
 
 II. アムステルダム条約発効後のEU抵触法

   1.EUの権限

   2. 立法手続

   3. イギリス、アイルランドおよびデンマークに関する特例

   4. EU第2次法
         (1) Rome I 規則
         (2) Rome II 規則
         (3) Rome III 規則

 III. ECJの判例法(基本的自由について)
  
 おわりに




4. EU第2次法(Rome I〜III規則等)


 4.1. 総論
 4.2. 各論
 (1) Rome I 規則
 (2) Rome II 規則
 (3) Rome III 規則



(3) Rome III規則

 ・ Rome III規則の制定が滞った理由

 Rome III規則(離婚および法的別居の準拠法に関するEU第2次法)の制定に際し、スウェーデンは、離婚を認めないか、または厳格な条件の下でのみ認める外国法の適用に反対した。これに対し、マルタは離婚を容易に認める外国法(例えば、スウェーデン法)の適用に反発した。このように、抵触法の制定に際し、準拠法の内容までもが重視されるようになった結果、EU理事会は、全会一致で Rome III規則を制定することができなくなった。

 その打開策として、Rome III規則は、緊密な政策協力の形式で制定され、それに参加する加盟国間でのみ適用される(マルタは参加しているが、スウェーデンは参加していない)。

 なお、マルタ法が準拠法に指定されるときであれ、加盟国は自国法に照らし、離婚を成立させることができる(第10条)。他方、マルタの裁判所は、外国法を適用し、離婚判決を下すことが義務付けられているわけではない(第13条)(詳しくは こちら)。

 

 ・ Rome III規則の概要は こちら 





参考文献については、『平成国際大学社会・情報科学研究所論集』第11号に掲載されている拙稿を参照して下さい。